2011年1月4日(火)「しんぶん赤旗」
主張
日米安保と沖縄基地
ことしこそ異常ただす年に
米軍普天間基地の撤去を求め、「県内移設」に反対する沖縄県民のたたかいが広がり、全国でも共感を広げるなかで、新しい年を迎えました。
普天間基地(宜野湾市)を名護市辺野古に「移設」し、新基地をつくろうという、自民党政権の計画を引き継いだ菅直人・民主党政権の企ては、県民のゆらぎのないたたかいによって完全に袋小路に追い込まれています。それは日米安保条約=軍事同盟をもちだし、米軍は「抑止力」だからと、県民に基地を押し付けてきたこれまでのやり方が、もはや通らなくなってきていることを示しています。
「安保見直し」の声
菅首相は普天間基地問題の決着について「期限を区切ることはできない」といっていますが、オバマ政権は今年5月ともいわれる日米首脳会談までに、めどをつける意向と伝えられています。今年が普天間基地問題の、正念場の年になるのは間違いありません。
沖縄県民は昨年、9万人を超した県民大会や名護市、沖縄県などの選挙を通じて、普天間基地の閉鎖・撤去を求め、「県内移設」は許さない、きっぱりとした意思を示しました。県民の意思はいまや、「ポイント・オブ・ノー・リターン」(引き返せない地点)を過ぎたといわれます。
普天間基地をはじめ沖縄の米軍基地は、戦後、県民の土地を無法に奪い、日米安保条約のもとで県民に押し付けられ、騒音被害や基地犯罪などで県民を苦しめてきました。民主党政権が基地を押し付けるために、いくら「日米安保のため」だとか「抑止力だから」といっても、県民からはいつまで沖縄への「差別」を続けるのかと、非難の声が上がるほどです。
地元メディアも、「議論もなしに基地を沖縄に押し付け、それによってかろうじて維持されるような日米安保体制は、根本から問い直されるべき」(昨年12月23日付「沖縄タイムス」)とのべています。沖縄県民のたたかいは、戦後長らく政府を呪縛のうちに閉じ込めてきた「安保」の異常そのものを問うものになっているのです。
昨年は1960年の日米安保条約改定から50年、今年は「講和条約」とともにもともとの安保条約が結ばれた51年から60年になります。安保の異常に苦しめられているのは、沖縄だけではありません。
安保条約のもとで、米軍はいまも首都・東京など全国84カ所に専用基地を置き、自衛隊基地の共同使用も広がっています。海兵遠征軍や空母打撃群、航空遠征部隊などの米軍部隊は、日本を「日本防衛」とは無縁の侵略と干渉の足場にしています。異常な低空飛行訓練や「思いやり予算」など、安保の異常は数々あります。
軍事同盟と軍事力でなく
普天間基地の閉鎖・撤去を求める沖縄だけでなく、全国で安保の異常を正すたたかいを発展させることが重要であり、そのなかでこそ沖縄の基地もなくせます。
新しい「防衛大綱」にもとづく南西諸島での日本の軍備増強や日米軍事一体化の強化が、北東アジアなど地域の平和にとって大きな問題になっているのも重大です。
安保の異常を続け、軍事同盟と軍事力で国民を苦しめ、平和を脅かすのではなく、憲法9条にもとづく平和への努力を強めることこそ、世界の平和に貢献する道です。