2011年1月3日(月)「しんぶん赤旗」
エストニアがユーロ導入
旧ソ連で初
分かれる世論
【ロンドン=小玉純一】バルト海沿岸のエストニアが1日、旧ソ連の国で初めて、欧州統一通貨ユーロを導入しました。ユーロ圏は17カ国に拡大しました。同海沿岸のラトビア、リトアニアは2014年の導入をめざしています。ギリシャの債務問題を契機にしたユーロ圏の信用不安が高まって以降、ユーロを導入したのはエストニアが初めてです。
同国のアンシプ首相は同日、首都タリンで現金自動預払機(ATM)からユーロ紙幣を引き出し、「ユーロ圏にとっては小さな一歩だが、エストニアにとっては大きな一歩だ」と話しました。
導入前に政府が委託した世論調査では賛成が54%。反対派が委託した調査では反対が53%でした。貿易の拡大や投資の呼び込みへの期待がある一方、独立のシンボル、通貨クローンの停止を惜しむ気持ちも強いといいます。
また、導入に必要な財政基準を達成するために歳出を削減。その結果、失業率が16%にまで押し上げられたと報じられています。
エストニアの人口は約130万人。1940年にソ連に併合され、91年に独立。翌92年にルーブル圏を離脱し自国通貨クローンを採用し、ドイツ・マルクやその後のユーロに対し固定相場制をとってきました。
欧州連合(EU)の財務相理事会が昨年7月、同国のユーロ導入を正式に承認。09年の財政赤字が国内総生産(GDP)比1・7%、公的債務残高が同7・2%で、物価や為替相場の安定などと合わせ、ユーロ導入4条件をクリアしていました。