2011年1月1日(土)「しんぶん赤旗」

2011展望

政局 民主党政権に“失望の大波”

国民的探求 今年も続く

共産党“二つの異常”ただす


 政権交代から1年4カ月を経た民主党政権は、国民の“失望の大波”にのみこまれながら年を越しました。菅内閣の支持率は発足時の6割台から2割台へ急落。いっせい地方選挙の前哨戦と位置付けた地方議会選挙で民主党の惨敗が続いています。政権交代と、その失望を国民が実体験するなかで幕開けした2011年の政局は、国政・地方政治で新たな政治を求める大激動が予想されます。

「成果」いうが

 「『新成長戦略』の策定」「法人税5%引き下げ」「普天間基地移設問題に関する日米合意」「新たな防衛大綱の策定」…。民主党の岡田克也幹事長は昨年12月22日の日本記者クラブでの講演で、「民主党政権15カ月の成果」として、こうした項目を列挙しました。いずれも財界とアメリカが要望してきたもの。岡田氏は「法人税引き下げは(大企業の)成長戦略のため」と強調しました。民主党は昨年末に同様の「成果」文書を公表しています。

 政権交代で自民党政治に代わる政治が求められたにもかかわらず、深化したのは民主党の「自民党化」。しかもそれを「自民党時代に簡単にできなかったことを次々打ち出したのであり、もう少し評価されてもよい」(安住淳防衛副大臣)と自負するところに菅政権の危うさと、国民との避けがたい矛盾があります。

「3月政変」も

 内閣改造・民主党役員人事も検討している菅直人首相ですが、年明け早々から“地雷原”を進むような政局運営を強いられるのは必至。

 参院で問責決議を受けた仙谷由人官房長官と馬淵澄夫国土交通相の対応とともに、小沢一郎民主党元代表の国会招致問題も絡んで党内は「泥仕合状態」(同党中堅衆院議員)です。11年度予算案は衆院の与党多数で3月末までに成立できても、野党が過半数を占める参院で予算関連法案が否決されれば菅政権は窮地に陥ります。衆院で3分の2以上の賛成による再議決が必要となるからです。

 永田町では解散・総選挙含みの「3月政変」も聞こえ始めました。綱領を持たず国家ビジョンを示せない菅・民主党政権は、数カ月先の足元さえも固めきれないでいます。

 民主党政権への失望によって、国民の支持が自民党に回帰しているわけではありません。昨年12月の「朝日」世論調査では「自民党は政権を任せてもよい政党だと思う」は26%で、「思わない」は57%にのぼりました。「政権奪還」で同党が掲げる政策も法人税率20%台への引き下げ、消費税10%への増税、集団的自衛権の行使など、国民の暮らしと平和を踏みにじるものばかりです。

 「二大政党づくり」の動きがほころびを見せているだけに、選挙制度改変によって情勢の反動的打開が狙われています。民主党は参院の「1票の格差」是正を入り口に、衆院比例定数80削減と将来的には「完全小選挙区制」を検討。議会制民主主義破壊を許さないたたかいが焦点となります。

役割浮き彫り

 民主党政権が自民党とまったく同じ道に行き着いた局面は、「米国・財界いいなりの『二つの異常』の土俵のうえでの政権交代では何も変わらない、行き詰まった政治から抜け出すにはこの土俵そのものを変えなければならない」(日本共産党第2回中央委員会総会決定)ことを示しました。「二つの異常」をただし、「国民が主人公」の新しい日本をつくる方針を掲げる日本共産党の役割が浮き彫りになる情勢です。

 菅首相は4日の年頭会見で税財政のあり方についての基本方針を示す予定。今年半ばまでに消費税増税を含む「税制の抜本改革」の成案を得るというのがシナリオです。国民の暮らしを犠牲にした「財政再建」路線の破たんは歴史的に証明済み。大企業の過剰な内部留保と利益を国民の暮らしに還元させるうえでも、「大企業・財界の横暴な支配」という根本問題が問われてきます。

 また、米軍普天間基地の閉鎖・撤去、「県内移設」反対という沖縄県民の総意を実現しようとすれば、日米安保条約という「異常な対米従属」の問題がいやおうなく問われる情勢です。「何のための政権交代だったのか」――民主政権の動揺と迷走を目の当たりにしてきた国民各層のたたかいが広がり始めています。

 波乱含みの通常国会最中に行われるいっせい地方選挙は、新しい政治への国民的探求が続くなかで、国政の熱い焦点が地方での政党選択にも大きな影響を与えるたたかいとなります。


2011年の主な政治日程

1月4日 菅直人首相が年頭記者会見、伊勢神宮参拝
13日 民主党大会
23日 自民党大会
中下旬 第177通常国会召集予定
4月10日 いっせい地方選(前半戦)投票
24日 いっせい地方選(後半戦)投票
6月 主要国首脳会議(サミット、フランス・ドービル)
下旬 通常国会会期末予定
11月12日 アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議(米・ホノルル、13日まで)
28日 国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)(南アフリカ・ダーバン、12月9日まで)





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