2010年12月30日(木)「しんぶん赤旗」
主張
住宅リフォーム助成
草の根からの「仕事起こし」
住民に笑顔を広げ、地元の中小業者を潤し、地域の経済を元気にする。これこそ、いま地方自治体がやるべき仕事の見本といえるのではないでしょうか。
住宅をリフォーム(改修)する住民に、自治体が一定額の補助をする「住宅リフォーム助成」制度が各地に広がっています。全国商工団体連合会の調査では、現在29都道府県の175自治体が実施。このうち、今年4月から新たに制度を創設したのが43自治体と、たいへんな勢いで増え続けている状況です。
大きな波及効果
省エネや耐震、バリアフリーなどでリフォームをしたいと考えている家庭はたくさんあります。助成制度を実施した自治体では、「この機会に思い切って工事しよう」と申請が広がっています。例えば、総工費20万円以上の工事に一律10万円を支払う制度を導入した岩手県宮古市では同市の世帯数のほぼ1割が申請したほどです。
これは、「仕事が無い」と悲痛な声をあげている地元の中小・零細建築業者にとっても、貴重な「仕事起こし」となり、不況対策としても抜群の効果を持ちます。県段階で唯一、今年3月から「住宅リフォーム緊急支援事業」を開始した秋田県では、制度が大好評で、10月までに1万2000件近い申請があり、全世帯の約3%が利用しました。補助額16億5000万円足らずで工事費総額は252億円以上にのぼっています。県内に本店を置く業者が施工することが助成の条件ですから、地元の建設業者に、これだけ新たな仕事が生まれています。
住宅リフォームにかかわる仕事は多方面にわたり、大きな経済効果をもちます。秋田県はリフォームによる経済波及効果は、補助額の24倍の約512億円と推計しています。これほど有効な税金の使い方は、そう見当たりません。
建築・土木技術者の求人倍率が顕著に改善するなど、地域のなかに新たな雇用を生み出している事例もあります。
この草の根からの「仕事起こし」を広げた力は、各地の民主商工会や労働組合、建築業界団体などの粘り強い運動と行政への働きかけでした。そのなかで日本共産党の地方議員は、首長や他の会派との合意づくりのために先頭に立って頑張っています。
この間、大企業の身勝手な進出や撤退が地域経済を疲弊させてきた反省から、いま各地で、大企業の誘致への依存ではなく、地域に根ざした農林水産業や中小企業を振興し、住民が働き、安心してくらせる地域経済循環をつくろうとの努力がはじまっています。
あたたかい地方政治を
地方から経済を活性化させようと、入札参加資格のない中小業者を登録して、自治体が発注する小規模な工事などの受注機会を広げる「小規模工事等希望者登録制度」のように、地域住民の運動とともに広がっている制度もあります。いつでも、どこでも、住民の声と知恵に耳を傾け、力を合わせてその実現のために先頭に立っているのは、日本共産党の地方議員たちです。
国の政治から吹き付ける風が冷たいいま、住民のくらしを守る地方政治の果たすべき役割は重い。来年のいっせい地方選挙はそのための大事な選択です。