2010年12月29日(水)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
寒波、豪雪のなかで迎えた年の瀬。住む家のない、いわゆるハウジングプアの人たちはどうしているでしょうか▼東京では25日から3日間、「あったかい部屋で年を越そう」と、法律、生活、医療、労働の困りごとの相談会が開かれました。司法書士や弁護士らがボランティアであたりました▼「4畳半、風呂なしアパートでもいい」。2月から断続的に公園などで野宿生活を続けてきたという48歳の男性は、生活保護の申請の相談にやってきました。ボランティアの人が付き添って区役所へ。数時間後、当座の生活資金と生活保護決定通知書を渡されました。1月7日には保護費が受給できます▼夏場には野菜農家で収穫の手伝いもしたというこの男性。「路上(生活)から申請できるなんて知らなかった。最低でも3カ月から半年続けられる仕事が見つかれば…」。ささやかな望みです▼“派遣切り”などで仕事を失えば住む家もなくなるのが日本の現実です。ボランティアの支援に救われた人は残念ながら少数です。行政はどうしているのか。「(生活保護を)安易に考えることは人間の堕落だ」と言い、派遣村に協力しないと宣言した石原都知事。任期中、新たに建てた都営住宅はゼロです▼「民間のアパートを借り上げて安く提供してくれればいいのに」とこの男性。妙案です。29、30日。大都市部の19のハローワークが窓口を開け、自治体と連携して職業・住宅確保の相談に応じます。ここでなんとかあったかい部屋を確保してほしい。