2010年12月28日(火)「しんぶん赤旗」
主張
小沢氏と民主党
国会での証人喚問を逃げるな
政治資金をめぐる疑惑について国会での説明責任を果たさない小沢一郎民主党元代表にたいし、民主党は菅直人代表(首相)も出席した役員会で、通常国会までに衆院政治倫理審査会で招致を議決し説明してもらうことだけを確認しました。小沢氏は政倫審に招致されても出席しないとしており、なんの拘束力もない確認です。
疑惑の解明と政治的道義的責任の追及は国会の責務です。説明責任を拒否する小沢氏と、小沢氏が政倫審を拒んでも国会証言が実現できる証人喚問の議決をおこなわない民主党の態度は、国会をないがしろにするものです。
政倫審「招致」はごまかし
小沢氏は、検察審査会の議決で年明け早々にも「強制起訴」される見通しとなっていることを口実に、政倫審での弁明を拒否し、たとえ招致が議決されても出席しないといい続けています。政倫審は疑惑を抱かれた国会議員が自ら申し出て弁明するだけの密室の場で、招致を議決されても出席する義務はありません。小沢氏が拒否することを承知で政倫審招致の議決でお茶をにごそうというのは、あってはならないごまかしです。
小沢氏は「司法の場でけりをつければいい」と主張していますが、司法の場での刑事責任の追及と、国会議員に対する国会での政治的道義的責任の追及が、まったく別の問題であることは議論するまでもないことです。これまでも刑事責任を追及されていた政治家が何人も政倫審や証人喚問に応じてきたことに照らしても、小沢氏の言い分は通用しません。
しかも、その小沢氏が「政倫審での弁明に応じても“ねじれ”国会の運営にいいことはない」などといいはるのは、自らの疑惑を棚に上げた、最悪の開き直り以外のなにものでもありません。
小沢氏の政治資金をめぐる疑惑は、自らの資金管理団体「陸山会」名義の巨額の土地取引を政治資金収支報告書で正しく届け出なかったというだけではありません。核心は、その資金の出所が公共事業に絡むゼネコンからの闇献金ではないのかということです。税金から立法事務費などを受け取っていた、解散した政党の資金を自分のものにしたなどの新たな疑惑もあります。国会運営に有利かどうかにかかわりなく、こうした疑惑にこたえるのは国民に選ばれた国会議員の最低限の責任です。
民主党が小沢氏のこうした数々の疑惑を党としての調査もおこなわず、臨時国会が終わり通常国会が近づくようになってからようやく政倫審への出席を問題にしだしたのは、説明責任を求めるというより、それこそ「国会対策」といわれても仕方がないものです。本気で疑惑を追及するというなら、政倫審招致ではなく、小沢氏の証人喚問こそ国会で議決すべきです。
国民不在のあらそい
民主党内では、小沢氏の問題をめぐり、国会への招致・喚問をいいだした執行部側と、それに反対し、臨時国会で問責が可決された仙谷由人官房長官らの辞任を持ち出した小沢氏側との争いが激化の兆しを見せています。いずれも国民をそっちのけにした争いです。
最近の世論調査でも国民の7割、8割が小沢氏に「国会で説明すべきだ」(「日経」など)と答えています。小沢氏の証人喚問要求にこたえるのは民主党の責任です。