2010年12月27日(月)「しんぶん赤旗」
危うく振り込め詐欺に
女性が本紙に語る
手口知らせ被害防いで
「危うく振り込め詐欺被害にあうところでした。被害者を出さないために、何があったのかを伝えたい」という声が神奈川県の女性から社会部に寄せられました。
被害者の女性は犯人との電話を次のように振り返ります。
上司
受話器を取ると犯人から「○○さんですね」と自分の名字で呼びかけられ、「上司の鈴木です」と名乗り、「奥さんですね」と確認されました。
上司全員の名前を知っているわけではないので「はい」と答えると、「清水と待ち合わせしてご主人が職場に来ることになっているんですが、ご存じですか」と、次々と問いかけてきます。
犯人は「ちょっと待ってください、清水から連絡が入りました、切らないで待ってください」…「清水の話だと交通事故を起こしてトラブっている。ちょっと待ってください」…「急いでいたこっちが悪い。向こうは外人で怒っている」。「ちょっと待ってください」を繰り返しながら「悪いのは夫側」を強調します。
「清水については彼の奥さんが相手と交渉している。あなたにも連絡がいくと思いますが、中国人で言葉が分からないのでしっかり聞いてください。手落ちがないように。こちらも手土産を持って謝りに行きます」と、犯人は電話を切りました。
再び電話がかかってきますが、外国人のようなたどたどしい日本語でよく聞き取れません。「…あなたの対応次第で…ご主人を海に落とすことも…つるしあげることもできます」と脅してきました。
女性が聞き返そうとすると「日本人は言い訳ばかりしている。テキパキと答えなさい。清水は一生懸命、奥さんが頑張っている。あなたはどうしたいのですか。あなたがはっきりしないとご主人のひもがきつくなってますよ。苦しんでますよ。いいんですか」と執拗(しつよう)な脅迫が続きます。
犯人は「どうすればいいんですか」という金銭解決を求める女性の言葉を待っていたようです。途中から詐欺ではないかと感じた女性が手元の携帯で夫の安否を確かめて抗議すると、犯人は電話を切りました。
巧妙
女性は「振り込め詐欺には引っ掛かるはずがないと思っていたが、危なかった」と振り返ります。質問しようとすると「ちょっと待ってください」と話をさえぎり、巧みに犯人のペースに持っていきます。携帯で、被害者が安否を確かめないように「事故なので夫の携帯は使えない」と話すなどシナリオは巧妙です。
振り込め詐欺の昨年の被害総額は約96億円(「警察白書」)に上っており年末は、いっそうの警戒が必要です。
被害は全世代にわたり(図)、定額給付金が支給されるとそれを口実にするなど時流に合わせて手口を次々と変えています。
犯人は事前に各種の名簿などで被害者の家族の名前や住所などの個人情報を調べている可能性があるので名前等を知っているからといって信用できません。
振り込め詐欺の電話がかかってきた時に備えて対策を決めている家族は、被害者家族でわずか5%、相談を一度もしたことのない家族が半数近くあります。
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