2010年12月26日(日)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 「森の中の魔法の国〜夢のようなひとときを」「しあわせの光の中へ」。「ハッピー&フォーチュンクリスマス」は、“幸せと幸運のクリスマス”の意味でしょう▼いずれも、福岡市の中心街を彩るクリスマス電飾(イルミネーション)につけられた呼び名です。年の暮れの街。夜のとばりが降りると、日々の現実をいっとき忘れさせる電飾の光が、行き交う人の心にも明かりをともします▼クリスマス前夜、ワゴン車に乗る9人は、電飾をみようと福岡をめざしました。10代の男女8人と生後6カ月の男の子。同じ方向へ走っていた乗用車には、20代半ばの男性が1人。座席に、クリスマスの贈り物とみられる赤い包みを乗せて▼けれど、「しあわせの光」は幻に終わりました。贈り物は、さびしく残されました。2台の車が交差点で衝突した事故。ニュースで、池に沈んだワゴン車の5人と彼らを助けようとしたらしい乗用車の男性が亡くなる惨事を知り、テレビの前に立ちつくしました▼農業高校に通う3人の女子高生もいる、6人の若者たち。冷たい泥の池にのみこまれ、すべてを絶たれてしまった彼ら彼女ら。明日への望みをふくらます新年を、どんな思いで迎えようとしていたのでしょう▼救助が始まり1時間たって池から引きあげられた男の子。絶望とみられた赤ちゃんが、いったん救命でよみがえったものの、ついにかえりませんでした。もとより信仰をもたない記者も、“クリスマスの奇跡”が起こりますように、と願ったのですが。





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