2010年12月25日(土)「しんぶん赤旗」

温室効果ガス

米環境局が規制発表

発電所・精製所の排出制限


 【ワシントン=小林俊哉】米環境保護局(EPA)は23日、化石燃料を使う発電所と石油精製所に対して、新たに温室効果ガスの排出制限を設ける計画を発表しました。


12年実施めざす

 両施設から排出される温室効果ガスは、米国全体の排出量の4割を占めます。発電所には2011年7月までに、石油精製所に対しては同年12月までに規制の詳細を決定し、それぞれ12年5月、同11月の実施を目指すとしています。

 EPAのジャクソン長官は同日、声明を発表。この計画は温室効果ガスの削減を通じて、米国民の健康を守り、気候変動対策に寄与するオバマ政権の政策の一環だと指摘しました。「今回の制限設置で、クリーン・エネルギーに対する民間投資が促進されるだろう」と述べました。

 規制計画の詳細は未定です。今後、産業界や関係州の意見を聴き、最終決定するとしています。

 オバマ政権は当初、議会で包括的気候変動対策法を成立させ、連邦レベルでの排出規制に乗り出す方針でした。しかし、産業界や野党・共和党の抵抗で審議は難航。来年1月からの新議会では下院で共和党が過半数を占めることから、野心的な規制目標を持つ法案の成立は絶望視されています。

 一方、連邦政府に先行して排出規制に取り組んできたカリフォルニア州やニューヨーク州などは、EPAが規制に積極的に取り組んでいないと訴訟を起こしていました。今回の計画は、これらの州や環境団体との合意の上に発表されたものです。

 野党・共和党が反対を強めるのは必至です。米国石油化学・精製協会は同日、「(EPAの措置は)エネルギー費用を高め、失業率を悪化させる」との会長声明を発表し、早速、抵抗する姿勢を示しています。





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