2010年12月25日(土)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
年収1500万円の人は金持ちなのかどうか。先日、経済財政担当相の海江田万里氏は、テレビ番組で「金持ちではない。中間所得者だ」といいました▼年間の給与が1500万円を超える人は、全体の1・2%です。金持ちかどうかの見方は人それぞれとしても、やはり高所得者でしょう。海江田氏は、働く人の懐具合に明るくないようです。ただ、「中間所得者」といったのにも事情はありました▼番組の出演者から、政府は高所得者をねらって増税すると批判され、“そうではない”といいわけしたつもりなのです。テレビや新聞は、高所得者や大企業の負担増などもってのほか、との雰囲気をつくっています。政府も、内部留保をためる日本の大企業は金あまりと認めているのに▼欧米でも、大企業は金あまりらしい。一説では、欧米企業は現金だけで1兆5千億ドル(約130兆円)以上ため込み使おうとしません(『ニューズウイーク日本版』新年合併号)。一方、日米欧とも国の財政は火の車。失業者がふえ、家計も冷える。富が、大企業だけに偏って集まります▼ならば、大企業がもっと税金を納め人を雇えば丸く収まる、と考えてもおかしくありません。しかし、政府は来年度の予算づくりで、法人税を下げると決めました。借金に苦しむ国が、金あまりの大企業へのサービスにつとめます▼“企業の競争力のため”といいますが、各国が法人税引き下げを競ったら…。資本主義の世界は、おしなべて「大企業栄えて国枯れる」です。