2010年12月24日(金)「しんぶん赤旗」
軍事費削減論 米で盛ん
在日基地は例外
“気前の良さ”が拍車
【ワシントン=小林俊哉】危機的な財政赤字状況から、米国内で軍事費削減の方策についての議論が盛んになっています。しかし、在日米軍基地は“例外扱い”され気味です。
ワシントンのシンクタンク・ブルッキングス研究所は今月、「国防予算と米国の力」と題する報告書を発表。国防費10%削減を提言し、柱の一つとして陸軍と海兵隊の15%削減などを唱えました。
15%削減に向けては、海外展開部隊を米国内に移転しても逆に高くつく可能性もあり、実際に部隊を廃止する必要があると指摘しました。
ところが、「日本の場合は、基地の不動産費用や機能、建設費を支払ってくれるという東京(日本政府)の気前良さによって、海外に基地を置く方が安くつく」とわざわざ明記しているのです。
同報告書を執筆したオハンロン同研究所上級フェローは22日の会合で、思い切った地上部隊の削減が必要だと述べる一方、日本などの海外基地の削減は「たいした節約にならない」と改めて主張しました。
米国内には、オバマ大統領の財政再建をめぐる諮問機関が、海外展開米軍の3分の1縮小を提言したりするなど、財政的見地から基地見直しの議論が広がりつつありました。「思いやり予算」など日本政府の米軍優遇の姿勢も、“例外扱い”に拍車をかけているようです。