2010年12月24日(金)「しんぶん赤旗」
主張
前原外相暴言
普天間の居座りは絶対許せぬ
菅直人首相に続いて21日沖縄県入りした前原誠司外相が、仲井真弘多知事との会談で米軍普天間基地「県内移設」の日米合意の受け入れを改めて迫るとともに、記者会見で「移設」が実現するまでは普天間基地の「継続使用」になると発言して批判を受けています。
住民の命を脅かす普天間基地の居座りは、断じて容認できません。前原氏は学校など普天間基地周辺施設の移動の要請があれば検討するとも発言していますが、基地を居座らせて住民を追い出すなど本末転倒もはなはだしいものです。
基地撤去は政府の責任
沖縄県民は、普天間基地の「県内移設」を拒否するとともに、普天間基地そのものの即時閉鎖・無条件撤去を要求しています。県民の安全を考えるなら、基地を居座らせるのではなく、撤去に取り組むことこそ政府の責任です。
米軍普天間基地は人口9万人の宜野湾市のど真ん中に位置し、騒音や墜落の危険などで住民の暮らしを脅かすとともに、土地を奪い開発を妨げて、市の発展そのものの障害となっています。米軍でさえ「世界一危険な基地」と認めています。日米両政府も14年も前に撤去で合意しているのに、「移設がすすまない」という勝手な理由で、県民に居座りを押し付けてきた責任そのものが重大です。
その間にも事故は続発し、2004年には基地に近い沖縄国際大学にヘリコプターが墜落し、住民の命が脅かされていることが改めて立証されました。県民が求めるとおり普天間基地は即時・無条件で閉鎖・撤去すべきであり、政府は「移設」を理由にした居座りの策動を直ちにやめるべきです。
前原氏が、普天間基地の「移設」がすすまなければ「継続使用」になると当たり前のようにいうのは、政府が県民ではなくアメリカにだけ顔を向けていることを示すものです。「米軍再編」についての日米合意は、普天間基地の「県内移設」と現在の基地の撤去など負担の軽減が“ワンパッケージ”(ひとくくり)だとしています。返すべき基地を撤去するから、代わりの基地をよこせということ自体、“居直り強盗”のような身勝手な理屈です。
沖縄県民は基地の「県内移設」も「継続使用」も望んでいません。政府として県民のことを考えるなら、日米合意に“自縄自縛”になるのではなく“ワンパッケージ”など誤った考えをただし、撤去を実現していくことこそ責任です。
政権が自民党から代わっても、民主党政権は自らの公約を裏切ってまで、「県内移設」の日米合意を押し通そうとしています。アメリカのいうことは何よりも大切という“呪縛”から抜け出せていないことを示すものであり、県民・国民のきびしい批判は当然です。
施設の移転先はない
菅首相が「県内移設」を「ベター」といい、前原氏が「移設」できなければ「継続使用」になるなどというのは脅しそのものです。
学校施設などの移転を口にしますが、市のど真ん中の、全面積の4分の1を占める基地をそのままにして、移転する先はありません。施設移転が「継続使用」を前提にしていることは明らかであり、政府は居座りの策動そのものを断念すべきです。そうでなければいよいよ、民主党政権はどこの国の政府かということになります。