2010年12月24日(金)「しんぶん赤旗」
「食料主権」に留意必要
国連総会が決議
環太平洋連携協定(TPP)への日本の参加をめぐり、「市場任せ」の貿易自由化でなく、「食料主権」を尊重した貿易ルールを求める声が広がっています。「食料主権」とは、食料・農業問題は、国際的な貿易協定などに左右されない、主権の一部をなすものだとする考え方です。
国連総会は21日、「食料主権」の概念をよく検討する必要があると指摘した項目を含む決議「食料に対する権利」を投票なしで採択しました。
同決議は、「飢餓は人間の尊厳に対する蹂躙(じゅうりん)かつ侵害である」と確認するとともに、「とりわけ『食料主権』のようなさまざまな概念や、それらの概念と食料安全保障や食料に対する権利との関係をさらに検討する必要性に留意する」と指摘しています。
「食料に対する権利」と題する国連総会決議は2001年以来、10年連続で採択されています。08年の決議からは、「食料主権」に言及する項目が加わりました。08年の決議には米国だけが反対しましたが、09年からは投票なしで採択されています。
ただ、国連の報道発表によると、総会に先立つ11月22日の第3委員会では、この決議案が投票なしで採択されたものの、米国代表は「食料に対する権利を強制力のある義務とはみなさない。食料に関する限り、条約上または慣習上の国際法を認めない」との身勝手な立場を表明していました。