2010年12月23日(木)「しんぶん赤旗」

沖縄返還交渉 事前協議やれば「イエス」

復帰後のベトナム出撃で外相

外交文書で判明


 外務省は22日、1972年の沖縄返還をめぐる日米交渉などに関する外交文書291冊を東京都港区の外交史料館で公開しました。それによると、沖縄返還に関する佐藤栄作首相とニクソン大統領との共同声明案を交渉する過程で、沖縄返還後も米軍が沖縄からベトナムなどに出撃する際、事前協議が行われても、日本側は必ず出撃を容認するとの見解を示していたことが分かりました。


 愛知揆一(きいち)外相とロジャース国務長官の第2次会談記録(69年6月5日付)によると、ジョンソン国務次官は東南アジアや台湾・朝鮮有事などで、米軍が自由に沖縄の基地を使えるような文言を共同声明に盛り込むべきだと主張。さらにブラウン国務次官補代理は、事前協議が行われた場合でも、「常に答えがイエスと保証するようにすべし」と述べた、と記しています。

 その背景には、ベトナム戦争を遂行する上で沖縄の自由使用は絶対に譲れないとの米軍の要求がありました。

 これに対して愛知外相は、「主権国家たる以上、何らかの形で相談が必ずあるようにすべく、イエスともノーとも言う可能性を置くべきだが、…(事前)協議があればイエスと言うことはできる」と発言。さらに下田武三駐米大使は、「内外周知の事態、たとえば朝鮮の場合日本はイエスと言えることである。ベトナムもまた周知の事態である」と答えました。

 結果的に、69年11月21日の佐藤・ニクソン共同声明には米軍の自由出撃権は明記されませんでしたが、その直前に佐藤・ニクソン両氏が、沖縄への核兵器再配備と自由出撃を容認する密約を交わしました。

 外務省は今年3月9日に公表した密約に関する調査報告で、この密約を否定しましたが、実際は外務省自身、米軍の沖縄からの自由出撃を容認する方向で動いていたことを示しています。


 事前協議 60年1月の日米安保条約改定に伴い、米軍が日本から日本防衛以外の戦闘作戦行動を行う際は、日本の主権を確保するとの観点から、日米で事前協議を行うことで合意しました。しかし、実際はこれまで一度も実施されていません。





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