2010年12月19日(日)「しんぶん赤旗」
温室ガス大量排出源の業界
民・自に2.6億円献金
「京都議定書」延長反対要求
メキシコ・カンクンで開催された国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)では、「京都議定書の延長」拒否を主張する日本政府のかたくなな姿勢が国際的に批判されました。同議定書の「延長拒否」を強く働きかけた業界団体が、民主、自民両党側に多額の政治献金を行っていたことが本紙の調べでわかりました。
COP16開会中の9日、電気事業連合会、日本鉄鋼連盟、日本化学工業協会、石油連盟、セメント協会、日本製紙連合会など9団体が「延長反対」の緊急提言を発表しました。いずれも、日本の温室効果ガスの大規模排出源となっている業界です。
2009年分の政治資金収支報告書によると、自民党の政治資金団体「国民政治協会」と、民主党の政治資金団体「国民改革協議会」に、業界団体としてあわせて2億6470万円の献金をしていました。(表参照)
電力会社の業界団体「電気事業連合会」やガス会社の業界団体「日本ガス協会」は、事業の公益性から業界団体としての献金は行っていませんが、各社の役員個人が役職ごとにランクづけをした事実上の企業献金をしています。
一方、日本経団連の坂根正弘副会長(コマツ会長)ら約20人の代表団はカンクンを訪れ、松本龍環境相らと会談したほか、事務レベルでも経団連側が政府代表団と頻繁に接触するなど、「京都議定書の延長反対」という主張を実現しようと活発な活動を展開。11日には、COP16の結果について、「京都議定書の単独延長論に与(くみ)しない日本政府の一貫した交渉姿勢に敬意を表する」との米倉会長コメントを発表しました。
京都議定書は、温室効果ガス削減の法的拘束力ある唯一の枠組みです。2013年以降に削減目標の空白期間なく、この枠組みが続くことは、COP16でほとんどの国が求めています。この継続反対に固執することは、事実上、排出削減を義務づけるしくみを掘り崩すことになります。
温室効果ガス大規模排出源の業界団体の献金
石油連盟 8000万円
セメント協会 1000万円
日本自動車工業会 8040万円(430万円)
日本製紙連合会 1000万円
日本鉄鋼連盟 8000万円
《注》国民政治協会への献金。かっこ内は国民改革協議会への献金
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