2010年12月18日(土)「しんぶん赤旗」
菅首相、新基地押し付け明言
仲井真知事 「県内はすべてバッドだ」
沖縄
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菅直人首相は17日、沖縄県庁で仲井真弘多知事と会談し、米軍普天間基地(宜野湾市)の名護市辺野古への「移設」を決めた「日米合意」(5月)を推進する立場をあらためて表明しました。県庁前には、首相への抗議のため朝から多くの県民がつめかけ、日米合意撤回を強く訴えました。
会談で仲井真知事は、先の知事選で公約した普天間基地の「県外移設」と日米合意の見直しを求め、「県民の思いを実現できるようお願いしたい」と述べました。
これに対し菅首相は、「辺野古はベストではないかもしれないが、実現可能性を考えたときベターな選択肢としてもう一度考えていただけないか」と頭から拒否。さらに、「(辺野古「移設」で)危険性は相当程度、削減される」などと述べ、宜野湾市民と名護市民の命の重みに違いがあるかのような考えまで示しました。
そのうえで菅首相は、沖縄振興に関する新法制定の必要性を指摘するとともに、2011年度から実施する予定の地方への一括交付金についても、「沖縄は別枠で考えている。ある程度の規模のものを用意したい」と発言。基地押し付けと「経済振興」策をリンクさせる立場を露骨に表明しました。
会談後、仲井真知事は記者団に対し、首相の「ベター発言」について、「県内(移設)は全部、グッド、ベター、ベストの分類に入らない。すべてバッドの系列にしかなっていない」と批判しました。
首相は18日まで沖縄に滞在し、米軍基地や返還跡地などの視察を行う予定です。
“日米合意撤回せよ” 県民抗議
「日米合意を撤回せよ」「県民は歓迎しないぞ」。17日、沖縄県を訪れた菅直人首相と仲井真弘多知事の会談場所となった県庁前は、名護市辺野古への新基地建設を再確認した「日米合意」を押し付ける政府に、県民が怒りのシュプレヒコールをあげました。
朝9時から集まった県民は「菅」に引っかけ、一斗缶や飲料水の空き缶を打ち鳴らし抗議。「撤回せよ」と書いた紙を掲げ、声を張り上げていた宜野湾市の女性(59)は「菅首相は何をしに来るのか。アメリカの奴隷ですよ。いまも沖縄は日米両政府に占領されている。安保闘争をもう一度おこそうかと思うぐらい」。
別の女性(60)は「基地を造るアリバイづくりなら二度と沖縄に来てほしくない」。宜野湾市の男性(64)も「沖縄に首相が来て交渉するのは筋違いだ。県民の意思を持って米国に行って交渉すべきだ」と憤ります。
午後3時すぎ、菅首相が県庁に到着すると空き缶を鳴らす音はいっそう激しくなり、「帰れ」の唱和が巻き起こりました。
周辺は警察の厳戒態勢がしかれ、立ち位置をめぐり県民が抗議する場面が頻繁にみられました。「県民の怒りが分からないのか」と一喝した普天間爆音訴訟団の島田善次原告団長。「県民の総意を何度も踏みつけにして、菅首相はあまりにも県民をバカにしている」と怒りに体を震わせていました。