2010年12月17日(金)「しんぶん赤旗」
きょう首相沖縄訪問 抗議の座り込み
基地問題 県民ではなく米と交渉を
菅直人首相の沖縄訪問を17日に控え、県民の怒りが沸点に達しています。15、16の両日、那覇市の県庁前で続けられた抗議の緊急座り込み。雨に打たれながら参加する人たちの思いを聞きました。(竹原東吾)
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「知事選から3週間もたたないのに、よくも沖縄にやってこられる」。「沖縄・生物多様性市民ネット」共同代表の伊波義安さん(69)=うるま市=はこう憤ります。
先の知事選では普天間基地問題で、伊波洋一候補(前宜野湾市長)が明確に「県内移設反対」を掲げ、30万票近くを得ました。仲井真弘多知事は「県内移設反対」を明言しませんでしたが、「県外移設」「日米共同発表の見直し」を公約に掲げ、約33万票を獲得し当選。その仲井真氏に投票した人の49・1%は「県外・国外移設」を求めており、「新基地建設反対」「基地の県内押し付け反対」は県民の揺るがぬ総意です。
「首相にとっては沖縄の意思なんてどうでもいいのか。(沖縄訪問は)米国への機嫌取りですよ」と義安さん。
育ったのは石川市(現うるま市)。宮森小学校に米軍機が墜落した事件は高校生のころでした。消防車より早く現場に駆け付け、友人らとバケツリレーで消火活動にあたったといいます。「煙がもうもうと出て、みんな叫んでいた。一緒に火消しに行った友人の家も跡かたもなく燃え、母親が亡くなっていました」。それが「平和の原点」です。
「(県民は)米国から“犬猫以下の扱い”を受けてきた。『人間として尊重されたい』。そう思って日本国憲法のある日本に復帰したのに何も変わっていない」。無念の思いを募らせます。「県民が米国政府と直接交渉する、そういう動きだって出てくるかもしれない。県民の怒りのマグマがいつ爆発するか、です」
沖縄平和市民連絡会の喜友名稔さん(70)=北谷町=は「基地をどうするかは県民ではなく、米国と交渉しなさい」と厳しい口調です。
民医連・とよみ生協病院の看護師(57)は「沖縄が基地を受け入れないことは(首相も)分かっているでしょう。沖縄に来るなら、『造らない』と言いに来なさい」と厳しい。
首相の沖縄訪問を前に、県民の怒りの火に油を注いだのが、沖縄に新基地を「甘受して」と発言した仙谷由人官房長官です。
宜野湾市の男性(61)は、「沖縄戦で悲惨な体験をした県民を何だと思っているのか。再び65年前を繰り返すなという県民の反戦の意思は強い。基地を『甘受せよ』とは本当にバカにしている」と強い不快感を示します。