2010年12月15日(水)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 ボブ・ディランの曲「風に吹かれて」。20世紀アメリカを代表する抵抗歌の一つといって、差し支えないでしょう▼“どれだけ砲弾をぶっ放せばいいんだ? それを無くしてしまうためには…”と歌う「風に吹かれて」。1963年の曲集、「フリーホイーリン・ボブ・ディラン」で世にでました。曲集の表紙は、ニューヨークの街を腕組んで歩くディランと当時の恋人の写真です▼恋人の名はスージー・ロトロ。ことし、彼女の回想記『グリニッチヴィレッジの青春』の日本語訳が出ました(菅野ヘッケル訳)。それによると、彼女の両親はイタリア移民でアメリカの共産党員でした▼全米に“赤狩り旋風”が吹き荒れた50年代、家計は苦しい。両親は、ソ連のスターリン流とは違う理想を胸に抱いていました。当然のようにスージーも、人種差別をなくす公民権運動やベトナム戦争反対の運動に加わってゆきます▼彼女の父は、シチリア出身。近く上映される「シチリア! シチリア!」は、「ニュー・シネマ・パラダイス」のトルナトーレ監督のイタリア映画です。監督の父の半生を素材に、戦後シチリアと自身の生い立ちを振り返ります▼父は、共産党員。映画でも党員たちが、土地改革やマフィアとのたたかいに情熱を注ぎます。しかし主人公は、ソ連を訪れた直後から悪夢にうなされ…。彼の不安は的中し、ソ連崩壊はアメリカやイタリアの党を直撃しました。しかし、スージーの両親や監督の父たちの志は、後の世代でも消えていません。





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