2010年12月15日(水)「しんぶん赤旗」
主張
民主党と小沢氏
自浄力も「聞く耳」もないのか
やはりというべきか、民主党は13日の役員会でも政治資金問題で追及をうけている小沢一郎元代表の国会への招致を決められませんでした。岡田克也幹事長は小沢氏に政治倫理審査会への出席を促すといいますが、小沢氏側は岡田幹事長との会談の受け入れさえ、即答していません。
どの世論調査でも、7割、8割の国民が小沢氏の国会での説明を求めています。昨年以来2年近くにわたって問題になってきた小沢氏の国会招致に責任ある対応ができないとは、民主党にはいよいよ自浄能力も国民の声を「聞く耳」もないということになります。
国会での説明求める声
小沢氏の政治資金問題について、「国会で説明すべきだ」が68%、「裁判の場で説明すれば十分だ」は24%(「朝日」)、同じく国会で説明する「必要がある」が76%、「必要はない」は11%(NHK)、小沢氏の国会招致を実現すべきだと「思う」が70・5%、「思わない」は9・0%(「産経」・FNN)…。小沢氏に国会での説明責任を求める声は圧倒的です。小沢氏だけでなく、民主党がこうした声にこたえていないのは重大問題です。
小沢氏に関わる政治資金の問題は、自らの資金管理団体「陸山会」名義で巨額の土地取引をおこないながら、政治資金収支報告書に正しく届け出ず、しかも元秘書に責任を押し付けようとしたというものです。検察は「嫌疑不十分」で起訴しませんでしたが、市民が参加する検察審査会は小沢氏を起訴すべきだと議決しました。司法の追及と国会での政治責任の追及は、疑惑解明の“車の両輪”です。
巨額の土地購入資金をどこから捻出したのかの疑惑こそ核心です。小沢氏は「政治資金」だとか「自己資金」だとか説明を二転三転させましたが、公共事業発注に絡むゼネコンからの裏献金の疑惑も消えていません。まさに税金の私物化であり、小沢氏に国会での説明が求められるのは当然です。
岡田幹事長も13日の役員会後の記者会見で、「裁判があるから国会での説明が必要ないという考えには立たない」と発言しました。「裁判で決着をつける」と小沢氏が主張し、裁判を理由に国会での追及を免れようという小沢氏に近い民主党議員らの言動は異常です。まさに国会議員としての自覚と責任を投げ捨てるものです。
岡田氏自身も、小沢氏が政治倫理審査会に出席しない場合は招致を決めるとのべるだけで、それに従わなくても「処分しない」と発言したのは重大です。これではまったくの“茶番”だと認めたのも同然です。政治倫理審査会は疑惑をもたれた議員が自ら名乗り出て説明する場で、審査会が招致もできますが前例はありません。小沢氏に説明責任を果たさせるなら、拘束力もあり偽証の責任も問える証人として国会に喚問し、追及することこそ不可欠です。
年明けには強制起訴も
民主党が通常国会を乗り切るためだけに小沢氏の国会招致を持ち出し、形だけ取り繕おうとしているのならそれこそ論外です。年が明ければ小沢氏は強制起訴されます。そこまでいたってもなお小沢氏をかばい続けるのか。
国会での説明責任を求める国民の声に「聞く耳」を持たない限り、民主党が国民の信頼を取り戻すことなどできるはずがありません。