2010年12月14日(火)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 人材。『広辞苑』に「才知ある人物。役に立つ人物」とあります。どの世界であっても次世代を担う人材の育成が大事なことは言うまでもありません▼小惑星探査機「はやぶさ」の生みの親、川口淳一郎さんのこんな言葉に出合いました。「宇宙開発や『はやぶさ』に限らず、子たちを目覚めさせる科学技術の発進も、大きく心に響く次世代の人材育成なのです」(『はやぶさ、そうまでして君は』)▼「はやぶさ」の大気圏再突入のインターネット中継は20万人以上が視聴し、帰還カプセルの展示会に多くの来場者が訪れています。7年間の波乱の航海、月以外の天体から物質を回収した世界初の快挙。おとなから子どもまで大勢の人に夢と希望を与えています▼片や、「政策コンテスト」の評価結果には驚きました。国民から募集した意見とまったく異なるからです。「国民の声を予算編成に反映させる試み」だと宣伝しておきながらです▼コンテストにかけられた事業には「強い人材」育成のための大学予算、若手研究人材の育成、授業料減免や無利子奨学金枠の拡大のための予算なども含まれています。これらは意見数が最も多く、要望が強かったものです。しかし、いずれも予算を減らせという評価です▼奨学金や授業料減免の予算には「経済的な理由により進学を断念する者がないよう」などといった親や学生の切実な願いが込められています。今回の評価が予算に直結するならば、国民の夢や希望を打ち砕くものでしかありません。





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