2010年12月12日(日)「しんぶん赤旗」

都青少年条例案

“表現守れ”共同広がる


 漫画・アニメーションの性描写を規制する東京都の青少年健全育成条例改定案に対し、「規制が拡大し表現の自由を萎縮させる」と反対の世論が急速に広がり、都議会各党の態度が注目されています。(東京都・川井亮)


漫画家も出版社も日弁連も

■出展を中止

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(写真)東京都の青少年条例改定案に反対の思いを述べる竹宮氏(右から3人目)ら=3日、都庁

 「マンガ家やアニメ関係者に対しての、都の姿勢に納得がいかない」。角川書店の井上伸一郎社長が8日、来年3月の「東京国際アニメフェア」への出展中止を表明したのに続き、10日には漫画出版大手でつくる「コミック10社会」が協力・参加を拒否する緊急声明を発表しました。

 「東京のアニメを世界に発信していく」として推進してきた実行委員長の石原慎太郎知事は足元からノーを突き付けられました。

 都が改定案を公表した11月22日以降、反対の声は一気に広がりました。29日に漫画家や日本雑誌協会が記者会見し「漫画やアニメの文化がしぼんでしまう」(ちばてつや氏)と訴えました。今月3日には竹宮惠子氏らも会見し、日本ペンクラブや日弁連、出版倫理協議会、出版労連、日本劇作家協会、自由人権協会などが相次ぎ反対声明を発表しました。

■規制を拡大

 都は3月議会に、「非実在青少年」(漫画、アニメの18歳未満の登場人物)の性描写にまで規制を拡大する改定案を提出。反対運動が高まり、6月都議会では日本共産党、民主党、生活者ネット・みらいなどの反対で否決されました。

 今回の改定案は登場人物の年齢規定を外し、「刑罰法規に反する性行為」「近親者間の性行為」など規制をさらに拡大するものです。9日の総務委員会では、日本共産党の吉田信夫都議が創作物の中で「刑罰法規に反する」か否かをどのように判断するのかをただしても、都側は明確に答えられませんでした。

 国会で「国旗・国歌法」が審議された1999年、政府は「強制しない」と答弁しましたが、全国で率先して強制しているのが石原都政です。「条例が通ったら拡大解釈しうる」(元週刊誌編集長の鈴木力氏)と懸念の声があがっています。

 出版関係団体はこれまで、過激な性描写のある本は区分陳列や、本を開けないようにするシール留めなど自主規制に努め、「不健全図書」は減少してきました。出版倫理協議会の西谷隆行氏は「現行条例で十分対応できる」と話します。

■各党態度は

 13日の総務委、15日の都議会本会議での採決を前に、反対を表明しているのは日本共産党、ネット、自治市民の3会派です。改定案に反対し議会のチェック機能を果たせるかどうか、各党の態度が問われています。





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