2010年12月12日(日)「しんぶん赤旗」
政府税調議論 法人減税 矛盾噴出
「このままでは個人に増税、法人に減税」民主幹部も嘆く
2011年度税制「改正」議論が大詰めを迎えています。「新成長戦略」の目玉として菅直人首相が指示した法人実効税率の引き下げをめぐる議論からは、財界・大企業の身勝手さと、その言いなりになって混迷を深める菅政権の姿が鮮明になっています。
身勝手財界、言いなり菅政権
経済産業省が主張する法人税率5%引き下げの財源をめぐって、政府税制調査会の議論が迷走しています。経産省がその代替財源を示したものの、その規模は、わずか5000億円程度。財務省が主張する1兆数千億円には程遠いものでした。
「どこかの党が何かやたらと演説をぶっているようですが、このままいくと、個人に増税、法人に減税というイメージを拭い去ることはできない」。民主党税制改正プロジェクトチームの中野寛成座長は、11年度税制「改正」で所得税の控除「見直し」が焦点となっていることも意識し、9日の会合でこう指摘しました。
減税は内部留保に
「庶民に増税、大企業に減税」との政権の姿勢を批判してきた日本共産党の主張を政権・与党の幹部自身が認めざるをえない状況になっています。
財務省が政府税調に示した資料では、法人税引き下げ分を内部留保にまわすとする企業が最も多く、25%を超えています。
政権内部からも法人税減税の効果を疑問視する声も出ています。
一貫して法人税率(国税)引き下げを求める経済産業省に対し、財務省は、研究開発減税など大企業に対する別の優遇税制を見直すことによって、減税財源を確保することを求め続けています。
ところが、財界はこうした議論に激しくかみ付いています。
“まず消費税増税”
法人税の5%引き下げを強く求める日本経団連の米倉弘昌会長は、「課税ベース拡大ということを言うのだったら、それ(=法人税率引き下げ)はもう結構ですと言わざるを得ない」と猛反発。法人税減税の穴埋めは、企業以外への増税に求めよという姿勢です。
大畠章宏経産相は7日の記者会見で「あくまでも法人税率5%引き下げという基本方針で進んでいく」と固執しています。
米倉氏は7日の記者会見で、法人税減税の意義を強調する一方で、「消費税を上げるということをまずやったらどうだ」と提起しました。財界・大企業に言われっぱなしの民主党政権では、国民生活が破壊されかねません。
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