2010年12月11日(土)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 1974年。年配の人は、洗剤やトイレットペーパーの売り惜しみ、物不足を思い出すでしょう。わが国が、前年の石油ショックのあおりで大不況に陥った年です▼長崎県大村市で、メリヤス肌着やパジャマの製造・販売業を営んでいた会社も、春から注文が目立って落ち込み、生産を減らさざるをえなくなりました。会社は、労働者29人を解雇します▼はたして、解雇は道理にかなっているのか。「大村野上事件」とよばれます。翌年、年も押し詰まる12月24日、長崎地裁大村支部が判決をいい渡します。“解雇は無効”。労働裁判史に新しい時代を切り開く判決でした▼会社の事業の都合で辞めさせる「整理解雇」に必要な、四つの条件を示していたからです。会社が存続できないほど差し迫った理由がある。解雇しないですむよう手をつくした。辞めさせる人の選び方や人選が妥当だ。労働者の納得を得る努力をつくした―。最高裁も、別の事件の判決で「4要件」をよりどころにしています▼日本航空が、202人の客室乗務員・パイロットの「整理解雇」を通告しました。しかし、日本を代表する会社というのに、なんとルール破りの通告でしょう。すでに、人減らしの目標を達成し、1000億円のもうけもあげているのですから▼日航のやり方が通るなら、4要件はどこへ? 労働者すべてに影響をおよぼします。日航が解雇を通告した10日は、62年前、国連総会が人間の尊厳や権利をうたう世界人権宣言を発した日でもありました。





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