2010年12月11日(土)「しんぶん赤旗」

日米演習 沖縄県民に被害

朝から爆音1日平均127回も
幹線道ラッシュ時軍事移送
民間機制限され郵便に遅れ


 3日から10日まで行われた日米共同統合演習は、日常的に基地被害に見舞われている沖縄県民に、郵便や宅配便の遅れも含め一層の被害をもたらしました。


 嘉手納町の調べによると、米軍嘉手納基地・北側滑走路に近い観測点(屋良地域)で、演習期間中(9日まで)に70デシベル以上の爆音を、昨年の1日平均113回を上回る127・1回記録。騒音は朝から発生しており、9日には午前8時51分に104デシベルを記録。列車が真上を通過するのに等しい90デシベルを上回る騒音です。7日にも午前8時50分に100・9デシベル、8日も午前9時22分に101・4デシベルと、県民の生活は朝から脅かされました。

戦場に想定

 今回の演習では、嘉手納基地配備の地対空誘導弾パトリオット・ミサイル(PAC3)の装備を、普天間基地(宜野湾市)やキャンプ・コートニー(うるま市)、キャンプ・シュワブ(名護市)に、深夜やラッシュ時に幹線道路を使って移送。沖縄全土を戦場に想定した演習の実態を示しました。

 那覇市は抗議文(3日)を出し、嘉手納町議会は抗議決議採択を準備しています。地元紙も「やりたい放題」(琉球新報5日付)「わが物顔…住民生活は脅かされるばかり」(同9日付)と批判しました。

 航空会社には、緊急時に備えた燃料の積み増しや貨物の積載量制限などの影響が出ています。日本郵政はホームページで「日米合同演習…の影響により航空機への搭載制限がかかり、沖縄県全域あてについて送達遅延が発生しております」と掲載。ANAは「演習期間中、燃料は通常より15分程度のプラスアルファを搭載した」といいます。

 業界最大手のヤマト運輸は「3日夜から遅延がで始め、1日くらいの遅延が一部貨物で発生。これまでも台風などで遅れることはありましたが、軍事演習で遅れるのは初めて」といいます。

何が防衛か

 日本共産党沖縄県委員会・党県議団は8、9の両日、県庁や外務省、沖縄防衛局を訪ねて抗議しました。この中で、地元自治体には「ネット上で公になった資料の範囲内」(沖縄防衛局)の説明しか行われていないこと、県は独自の申し入れを一切行っていないことが分かりました。

 沖縄防衛局は地元への配慮から「外来機はきていない」としましたが、米軍嘉手納基地は「演習のため、オクラホマ州からKC135(空中給油機)が少なくとも2機、同基地に展開している」と認めています。

 申し入れで嘉手納町議会基地対策特別委員会委員長の田仲康榮町議は「住民にこれだけ被害を与えておいて、何が防衛か。演習によって住民がどれだけの被害を受けているかを調査し、住民被害をなくす態勢をつくるよう」と迫りました。


 日米共同演習 日米共同統合実動演習は1986年に始まり、10回目となる今回は自衛隊が3万4100人、米軍が1万400人で計4万4500人が参加。前回(07年)の3万1千人を大幅に上回り、過去最大規模です。また、日米あわせて艦船60隻、航空機400機が参加し、九州・沖縄や日本海をはじめ、全国で大規模な演習が行われました。





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