2010年12月10日(金)「しんぶん赤旗」
原爆症認定見直し議論
厚労省検討会 被爆者「援護法改正も」
|
厚生労働省は9日、被爆者代表や有識者らによる「原爆症認定制度の在り方に関する検討会」(座長・森亘東京大学名誉教授)の初会合を同省内で開きました。月1回程度の開催で制度見直しに向けた論議をします。被爆者や弁護士ら45人が全国から傍聴につめかけました。
原爆症認定集団訴訟での相次ぐ国敗訴を受け、国は2008年に認定基準を緩和しました。しかし、新基準でも、認定の対象外となる被爆者が勝訴し原爆症と認められる事例が続いています。検討会では、この司法判断と行政とのかい離を解決し、被爆者が求める、被爆実態に即した制度への抜本的改善が焦点になります。
14人の委員には、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の坪井直代表委員、田中熙巳事務局長をはじめ被爆地の広島、長崎両市の副市長らで構成されています。
初会合の冒頭、細川律夫厚労相は「国の保健、医療、福祉の面での援助が十分かどうか考えていかなければいけない」とあいさつ。
坪井氏は、全身に大やけどを負った広島での被爆体験と12回の入退院を繰り返した人生を語りました。
田中氏は、戦争でもたらされた原爆被害は国が補償すべきだとのべ、国家補償に基づく被爆者援護法の制定(法改正)を求めました。現行制度は原爆の放射線、熱線、爆風など複合的、総合的被害の実態を正しく反映していないと批判し、認定制度の抜本的な改善を要求しました。
会合後、同省内で記者会見した田中氏は「検討会で援護法改正と制度改善を切り離すのではなく、国家補償的な法律をどうするかという流れの中で制度改善を議論してほしい」と語りました。