2010年12月10日(金)「しんぶん赤旗」
規制が拡大 表現萎縮
青少年条例改定案 吉田氏、撤回要求
都議会委
日本共産党の吉田信夫東京都議は9日の都議会総務委員会で、漫画・アニメーションの性描写を規制する青少年健全育成条例改定案について、「規制対象が拡大し範囲も不明確で、恣意(しい)的判断で表現の萎縮をもたらす」と追及し、撤回するよう迫りました。
吉田氏は、漫画家協会、日本ペンクラブ、日弁連などの反対の声を紹介。性的感情を刺激し自殺・犯罪を誘発する図書類は現行条例でも規制しており、出版関係団体が自主規制の努力を続けているなかで、都が一方的に規制拡大を打ち出したことを批判しました。
改定案が「刑罰法規に触れる性行為」として規制対象に「みだらな性行為」というあいまいな基準を規制対象に持ち込んだことについて、「漫画では登場人物に確認もできないのに、どう判断するのか」とただしました。
吉田氏は「婚姻を禁止された近親者間の性行為」との基準についても、「近親者間の性行為は古来さまざまな文学・芸術表現のテーマとなってきた。過去の日本や世界の作品を題材にすることも規制対象になりうる」と批判。角川書店の社長が東京国際アニメフェア(実行委員長・石原慎太郎知事)への出展中止を表明したことを紹介し、「都として関係者との話し合いの場を持ち、意見を受け止めるべきだ」と迫りました。
都青少年・治安対策本部の浅川英夫部長は性描写が青少年の性的判断能力の成長に与える影響について、科学的知見はないと答弁。どうやって「みだらな性行為」の判断をするのかとの問いには答えられませんでした。
国際アニメフェア 角川書店が出展中止
「都の姿勢 納得いかない」
出版大手の角川書店の井上伸一郎社長は8日、東京都やアニメ関係企業などが来年3月に開催する「東京国際アニメフェア2011」(実行委員長・石原慎太郎都知事)への出展を取りやめる方針を表明しました。
井上氏はツイッターで「マンガ家やアニメ関係者に対しての、都の姿勢に納得がいかないところがありまして」と述べました。
同社は02年の第1回フェア開催以降、実行委員会に参加し、出展してきました。同社の総務担当者は本紙に「出展中止は社として決定した方針です」と話しています。
石原都知事は開会中の都議会定例会に漫画・アニメの性描写を規制する青少年健全育成条例改定案を提出しました。
漫画家・作家・出版関係団体、文化人、日弁連など広範な人たちが「表現の自由を萎縮させる」と反対の声をあげています。日本共産党は改定案の撤回・廃案を求めています。