2010年12月9日(木)「しんぶん赤旗」

入植活動凍結

米がイスラエル説得断念

瀬戸際の中東和平交渉 仲介に限界


 【カイロ=伴安弘】米国のオバマ政権は、イスラエルに対してユダヤ人の入植活動を凍結するよう説得することを断念しました。米高級外交官が7日、エルサレムで明らかにしました。パレスチナ自治政府は、イスラエルが入植活動を停止しない限り直接交渉に復帰しないと表明しており、中東和平プロセスが完全に行き詰まりかねない事態になっています。

 直接交渉は米国の肝いりで9月初めに始まりました。しかし、イスラエルがパレスチナ・ヨルダン川西岸でのユダヤ人入植地建設の凍結(停止)を延長せず、入植地拡大を進めたため、パレスチナ側が反発、同月末から交渉はいっさい行われていません。クリントン米国務長官は3日、和平交渉が崩壊の瀬戸際にあるという見方を否定していますが、米国の仲介の限界を示す形となりました。

 米政府当局によると、イスラエルとパレスチナの交渉担当者が来週訪米し、米政府と直接交渉について協議します。これに関し米高級外交官は「われわれは新たな凍結によって直接交渉を復活させる時期にはないという結論に達した」と記者団に語りました。米政府としては今後、安全保障と国境の問題についての合意をめざすと付け加えました。

 米国は直接交渉復活のため、イスラエルが90日間、入植凍結を延長する見返りに同国に30億ドル(約2500億円)相当のF35ステルス戦闘機20機の供与などの「安全保障」強化策を講じると提案していました。

 米外交官の一人は凍結延長案の断念の理由について、(1)入植凍結延長の対象地から東エルサレムが除外されているが、パレスチナ側は除外すべきでないと主張している(2)「90日間」は重要な課題を検討するには短すぎる―と指摘しました。

 パレスチナ側は国際社会が占領地とみなし、パレスチナが将来の国家の首都と考えている東エルサレムを入植凍結の対象地から除外していることに強く反発。アッバス自治政府議長は、国家建設ができないのなら自治政府の解体もありうると警告していました。





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