2010年12月7日(火)「しんぶん赤旗」

年金システムの欠陥問題

掛け捨てケース24年前からか

年金機構の回答で判明


 日本年金機構の年金裁定オンラインシステムに保険料の掛け捨て期間を生じさせる欠陥がある問題で、質問状を出していた稲村七郎さん(65)=東京都町田市在住=にたいし、同機構は6日までに回答文書を寄せました。それによると現在のオンラインシステムの開発は1986年としており、年金裁定に掛け捨て期間を生じさせるケースが24年にわたって存在している可能性があることが分かりました。


 年金機構のオンラインシステムによると、稲村氏の特別支給の老齢厚生年金の見込額(昨年11月回答)は、実際の被保険者期間の470月の算定で年204万6200円でした。ところが2010年4月に送付されてきた年金決定通知書は、60歳以降の被保険者期間59月を算定から除外し、411月分で同179万4500円。同約25万円も少なくなっていました。

 稲村氏は11月5日、同機構に、年金機構のオンラインシステムによる年金見込額と裁定額が被保険者期間の違いにより異なっているのは、60歳以降の被保険者期間、59月を算定から除外したシステムの欠陥であるとして、是正を求める質問状を出していました。

 回答は、見込額と裁定額が違っていることについて、「(見込額回答票には)『実際の年金額はこの試算結果と異なる事があります』との表記によりご案内をさせて頂いております」と記述。システムの欠陥を認めていません。

 回答を受け取った稲村氏は「年金の見込額を出すときは保険料を納めた全期間で計算しているのに、実際の年金額の計算では、掛け捨て期間を生じさせて何十万円も削減している。その違いの説明を求めると『実際の年金額は異なる事がある、と書いてある』と言い逃れる。年金行政の信頼を根本から損なう詭弁(きべん)だ」と話しています。


 年金実務センター代表・公文昭夫さんの話

 日本の公的年金制度には「保険料の徴収優先、支給は最少で二の次、三の次」という思想的欠陥があり、今日までさまざまな問題が生じています。稲村氏のような場合に保険料の掛け捨てが生まれる裁定システムになっているのも、その表れだと思います。

 国と、その業務を委任・委託された日本年金機構には正しい年金額を国民に知らせる責任と義務があります。見込額が裁定額と大きく違うというのでは老後の生活設計がくつがえされてしまう。あってはならないことであり年金機構の居直りは許されません。

 年金機構は早急にシステムを見直すべきだと思います。





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