2010年12月1日(水)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 今日から12月。師走の声をきくと、いよいよ冬本番かと身構えます。登山者や紅葉をみる人でにぎわう黒部立山アルペンルートも、昨日で今年の営業を終えました▼長野県側の扇沢からトンネルトロリーバスやケーブルカー、ロープウエーを乗り継ぎ、標高差1千メートルあまりを約1時間半。あるいは、富山の立山駅からケーブルカー、バスで標高差2千メートル近くを1時間。雲上の絶景を誇る標高2450メートルの室堂平には、年間100万人が訪れます▼痛ましい災害が起きたのは、アルペンルートが今日で閉じられるという日の朝でした。雪崩が、室堂平へスキーやスノーボードを楽しみにきた6人を襲いました。1人が亡くなり、1人が重体です▼立山連峰をすっぽり包むなめらかな雪肌に残る、引っかき傷のような雪崩の跡が生々しい。アルペンルートで入れる時期に1・8メートルの積雪。スキーヤーには絶好の機会だったでしょう。6人は、雪崩にあったら無線で知らせる発信機を持ち山へ向かいました▼雪崩のおそろしさは、黒部峡谷で1938年に発生した大災害からも知れます。5階建て工事用宿舎の木造部分を吹き飛ばし、山を越えて600メートル離れた岩壁にたたきつけました。84人の命が奪われています。山に雪が積もっている限り、油断はできません▼6人が雪崩に巻き込まれた朝、前日の吹雪から一転、穏やかな日和でした。新雪の表層雪崩でしょうか。気象の異変が目立つこのごろ、今冬のスキーヤーや登山者の無事を願うばかりです。





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