2010年11月30日(火)「しんぶん赤旗」
沖縄知事選 伊波氏大健闘
県内移設反対 県民総意揺るがず
運動は続く
米軍普天間基地問題を最大の争点にたたかわれた沖縄県知事選(28日投開票)で、県民総意である「県内移設反対」の先頭に立ってきた前宜野湾市長の伊波洋一氏(58)が大健闘しました。自公推薦の現職で、選挙直前に「県外移設要求」を言い出した仲井真弘多氏(71)が2期目の当選を果たしました。選挙結果は何を示したのでしょうか。(沖縄県知事選取材団)
|
75%が「県内移設」反対
選挙結果の大勢が判明した28日午後10時すぎ、選挙事務所でマイクを握った伊波氏。「基地ある限り、基地問題は解決しなければならない課題として厳然と残ります。基地をなくす運動は続きます。みなさん、いっしょに頑張りましょう。そして、いつかは私たちが勝つでしょう」と呼びかけると、支持者は「その通り!」の声と大きな拍手で応えました。
今回の知事選で伊波氏は、「米軍普天間基地の閉鎖・返還」「県内移設反対」を掲げ、この県民総意を日米両政府に突きつけると堂々と主張してたたかい抜きました。
この訴えが多くの県民の共感を広げたことは、「共同」による投票日出口調査で、名護市辺野古への新基地建設を「容認できない」が68・9%に、NHKの同調査では75%に達したことを見ても明らかです。
伊波陣営のたたかいは、仲井真陣営最高幹部の1人に「投票日までの1週間は眠れなかった。まったく結果が予測できなかった」と言わせるところまで追いつめました。仲井真氏自身、開票から一夜明けた29日、「相手候補も30万ぐらいあった。知事になった以上は、沖縄県民の代表として、県民の望んでいる方向をきちんと確認しながら仕事をしていきたい」と述べざるを得ませんでした。
まさに、「県内移設に対する県民の拒否感があらためて浮き彫りとなった」(琉球新報29日付)というのが、今回の選挙結果の意味だといえます。そもそも仲井真氏が「県内移設容認」の立場を選挙直前になって変えざるを得なかったのも、この県民総意に抗しきれなくなったからでした。
前出の仲井真陣営幹部も「県内(移設)の余地はもうない」と語りました。
「共同」出口調査で、「県内移設」反対のうち、約4割の人々が仲井真氏に投票したことの意味は非常に重いといえます。沖縄タイムス29日付社説は「これまで県内移設を容認してきた保守陣営も、沖縄ではもう県内移設を掲げて戦うことはできなくなった」と書きましたが、基地問題での後戻りは決して許されないのです。
力関係押し返し接戦に
さらに同社説は、「政権与党の民主党が候補者を立てることができず、『自主投票』を決めたことも(仲井真氏に)有利に働いた」とも書きました。
前回知事選では、民主党も、今回、伊波氏を推した3党とともに糸数慶子氏(現参院議員)を擁立してたたかいました。
今回、「県内移設」推進で国民、県民を裏切った民主党本部は「自主投票」としましたが、政府・民主党本部は実質的には仲井真氏支持の態度をとりました。
政党間の力関係では圧倒的に仲井真氏に有利ななかで、伊波氏が接戦にまで持ち込んだことは重要です。日米両政府がこのことの重みを真摯(しんし)にうけとめなければ県民のさらなる反撃は必至です。
若者に引き継がれる志
今回、日米両政府と自公両党の“県内移設押しつけ勢力”にたいして、日本共産党、社民党、沖縄社会大衆党の共闘を軸に、基地のない沖縄を願う広範な県民が対決するという構図となりました。このたたかいの意義も、今後に大きく生きるものです。
伊波選対事務所で開票を見守った那覇市の男性(65)は悔し涙を浮かべながらいいました。「伊波さんは基地返還後の経済効果を具体的に訴えてきた。これは必ず県民全体の理解へと広がります。基地を沖縄からなくしていくのが歴史の大きな流れです。県知事が県民の思いに沿った立場をとるよう、これからも頑張りたい」
日本共産党は、伊波氏を支える共闘メンバーの一員として、昼夜をわかたず奮闘しました。
知事選結果判明後の28日深夜、豊見城市の男性(28)=団体職員=は日本共産党への入党を決意しました。選挙中、ビラ配布や支持拡大で奮闘した阿嘉さんはいいます。
「これからは、基地のない平和な沖縄を目指す思いを共有できる若い仲間を増やし、活動を大きく広げていきたい。基地の重圧に苦しめられてきたおじぃ、おばぁの思いを受け継ぎ、仲間とともに基地のない沖縄をつくるために頑張ります」
開票結果は次の通り。
当仲井真弘多71無現335708
(自民党県連、公明党推薦)
伊波 洋一58無新297082
(日本共産党、社民党、沖縄社大党推薦)
金城 竜郎46諸新13116
(投票率60.88%)