2010年11月30日(火)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 白い布を頭に巻いたイランの女性選手がフィールドを疾走していました。鬼ごっこに似た競技で真剣に競い合う姿も。独特の彩りに満ちたアジアのスポーツ祭典が中国広州で幕を閉じました▼地元中国勢の圧倒的な強さに、わが日本は押され気味でした。球技やカヌーなどで奮闘しましたが、競泳や陸上、柔道といった主要競技での低調さが気になります▼普段は冷遇されているマイナー競技や五輪にないスポーツは意気込みが実りました。足のバレーボール、セパタクローでは男女とも団体戦で銅メダルを獲得。寺本進主将は「一丸となってすべてを出し尽くした」と胸を張ります▼とはいえ、彼らの競技環境の貧しさは深刻です。セパタクロー代表の多くはアルバイトをしながら。自転車のモトクロス種目で中国に敗れた選手は「働きながらやっているから練習するのが難しい状態」と悔しがっていました▼フェンシングの女性選手は、日本代表になってからも支援体制が整わず、選手同士でマッサージした体験を口にします。ビーチバレーで銅メダルをとった35歳の朝日健太郎さんは、所属先がない状態で「スーツにメダルを掛けて営業に使いたい」▼スポーツのすばらしさや人間の可能性を体現するトップアスリート。ほかの芸術や文化と同様に、その活動を支え、環境を整備することは国の役割でしょう。メダルの数ばかり追わず、スポーツ文化が豊かに花ひらく社会にするためにも「スポーツは権利」という考えを国として貫くときです。





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