2010年11月29日(月)「しんぶん赤旗」
アイルランド 首都10万人デモ
増税・福祉削減に抗議
【ロンドン=小玉純一】増税と福祉削減を盛り込んだアイルランド政府の財政再建計画に抗議するデモが27日、首都ダブリンで行われました。人口約450万人の同国で10万人(主催者発表)が参加しました。
デモを主催した労組の全国組織、アイルランド労組会議(ICTU)のジャック・オコーナー議長は参加者に「政府の横暴に反対する」「われわれは投機家のつけを払わない。政府に公平な計画を要求する」と演説しました。
前日からの雪にもかかわらず、バスなどで詰め掛けた人たちが、「アイルランドを売り渡すな」「金融支援はいらない」といったプラカードを掲げて行進しました。
財政再建計画は、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)などによるアイルランド政府への約850億ユーロ(約9兆4700億円)の融資の条件となるもの。同融資は金利が年6・7%となると伝えられており、これは同様の支援を受けたギリシャの5・2%を上回っていることから、野党の懸念を強めています。
25日投票の下院補欠選挙(1議席)では、カウエン首相率いる共和党が強い選挙区で同党候補が大敗。野党・労働党などは「政府が不信任された」として即時の解散・総選挙を要求しました。首相は22日、予算成立後の来年1月に総選挙を実施する意向を表明していました。
政府が24日、発表した財政再建計画では、国内総生産(GDP)比で今年32%となる見込みの財政赤字を2014年までに3%とする方針。公務員数の削減、最低賃金や年金の引き下げ、付加価値税率の段階的引き上げなどを打ち出す一方、欧州最低水準の法人税率は引き上げていません。
同国では不動産バブルがはじけ、銀行破たん回避策として巨額の公的資金を投じていました。