2010年11月24日(水)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 大昔から、「言葉づかいで思慮深さが、使う言葉で知識が知れる」(旧約聖書)といわれてきました。言葉はこわい▼せめて、古代ギリシャの格言を忘れないように気をつけたい。「一度投げた石は手に戻らない。一度口に出した言葉は口に戻らない」です。言葉は口に戻らず、失言した柳田稔氏は法務大臣の職も失いました▼「『個別の事案についてはお答えを差し控えます』。これはいい文句ですよ。分からなかったらこれを使う」。柳田氏がとびついた「いい文句」とは、国会でのいわゆる官僚答弁でした。形ばかりで空々しい▼“脱官僚”“政治主導”を唱える菅首相にも、菅流答弁があります。三つの言葉をよく使います。「まずは」「ある意味」「つまりは」。「まずは」で、とりあえずなにかを実行する気をしめし、「ある意味」で“これだけではないが…”とふくらみをもたせ、「つまりは」で、はっきりと結論や決意をのべる。ご本人は、そんな気分でしょうか▼しかし、むなしく響く場合が目立ちます。たとえば、沖縄についての答弁です。「つまりは(普天間基地の)辺野古への移転という方向性を含む日米合意に戻った」。「ある意味で…簡単ではない」が、「まずは日米合意を踏まえたところからスタートし、(辺野古案で)理解を得られるよう全力をあげる」▼「まずは」と気軽にいいますが、つまりは辺野古案が大前提で、あの手この手でそれを沖縄におしつける考えです。「言葉は人の品格を表す」という格言もあります。





もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp