2010年11月23日(火)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 「疲弊しています」。先日、科学技術政策を語る集会で若手研究者が話していたことが耳から離れません▼「仕分けをする側は対象の事業を会計上の数字としてしか見ていないのかもしれませんが、関連事業にはプロジェクトごとの経費で雇用されている若手研究者がいるのです」と怒っていました。予算が減らされると失職する研究者がいると▼政府の行政刷新会議による事業仕分けで、人材育成にかかわる大学関係事業などが「見直し」「予算縮減」の判定が下されました。これに対して、日本化学会など30学会が「将来に対して、どのような責任ある国家戦略を描いているのか、大きな疑問」と抗議の声をあげています▼若手研究者をめぐる環境がとても厳しいことは何度か書いてきました。大学院博士課程を修了した後、大学や研究機関で短期の契約を結んで給与などを受けて研究するポストドクターの問題なども解決の見通しはたっていません。そのなかでコスト削減の観点だけで仕分けるやり方は追い打ちをかけるだけです▼事態は日本の前途に影を落としています。若手研究者の行方を論評した雑誌は、「科学技術者は特に若年層で大きく減少した」と指摘(『エコノミスト』16日号)。大学の理工系学部への志願者数が1992年は約100万人いたのに、2008年は約63万人へと激減し、2030年ごろには科学技術者が100万人以上不足する試算があるといいます▼現政権の支持率急落は柳田法相問題だけではないでしょう。





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