2010年11月23日(火)「しんぶん赤旗」

暴力で暴力消せない

犯罪対策は教育・雇用で

世界大都市市長が大会


 【メキシコ市=菅原啓】世界の大都市の市長らが参加する「都市・自治体連合」(UCLG)の第3回大会が18〜20日、当地で開かれ、治安対策や雇用創出など都市の抱える諸問題に立ち向かう決意を明らかにした宣言を採択しました。


 3日間の討論では、世界的な経済危機の影響によって都市部での失業や貧困が深刻化し、犯罪増加への対処が共通の課題となっていることが浮き彫りとなりました。

 犯罪増加に対しては、中央政府が警察力強化や軍隊の投入によって対処する傾向が強まっていますが、「暴力はさらなる暴力で消し去ることはできない」(ボリビア東部トリニダードの市長)など、教育や雇用を含めた総合的な対策こそが求められているとの意見が相次ぎました。

 採択された宣言は、こうした総合的な対策によって2030年までに安心して暮らせる都市の実現をめざす決意をうたっています。

 UCLGのガトー事務局長は、宣言の趣旨を説明する中で、「われわれはとくに、不安も暴力もなく暮らせる都市を新しい世代に提供したいと考えている」と語りました。

 大会でもう一つ大きな議論となったのは、地球温暖化の問題でした。

 メキシコ市のエブラルド市長は、温室効果ガスの約8割は人口の集中する都市部からの排出であり、自治体のイニシアチブが不可欠であると強調。多くの発言者が、都市が温暖化対策を進めるうえで先進国からの技術面と資金面での援助が緊急に求められていると力説しました。

 大会は、各国政府に対して温暖化の進展を回避する早急な対策をとるよう求める文書も採択。UCLGの立場を伝えるため、29日からメキシコのカンクンで開かれる気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)にエブラルド市長を代表として派遣することを決定しました。

 今回の大会には、約90カ国から地方自治体の首長や代表が出席。次回の大会は2013年にモロッコのラバトで開催することを確認しました。


 都市・自治体連合(UCLG) 各国の地方自治体の相互交流や協力強化などを目指す国際組織。2004年に国際自治体連合(IULA)、世界都市連合(UTO)、世界大都市圏協会(Metropolis)が統合し発足。会長はフランスのパリ市長、スペイン・バルセロナに事務局を置きます。127カ国・地域の約2500団体が加盟。日本国内の地方自治体としては唯一、浜松市が加盟しています。





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