2010年11月23日(火)「しんぶん赤旗」
柳田法相が辞任
国会愚ろう発言
謝罪・反省ないまま
「補正予算を通すため」
柳田稔法相は22日、自らの国会愚ろう発言が「補正予算案成立の障害となりつつある」として辞任しました。菅直人首相が同日朝、首相官邸に柳田氏を呼び、補正予算案成立を最優先にする考えを伝えたことを受けたもの。菅改造内閣で初の閣僚辞任です。菅首相の任命責任と同時に、柳田氏をかばい続けた責任は免れません。
政府は、柳田氏の辞任を受けて臨時の持ち回り閣議を開き、仙谷由人官房長官の法相兼務を決めました。
菅首相は、柳田氏との会談で「一日も早く2010年度補正予算案を成立させたい」との理由で事実上、法相辞任を要求。柳田氏も「私の発言が障害になりつつあった」として受け入れました。
柳田氏は会談後、法務省で記者会見し、首相との会談の場で辞表を書いたことを明らかにし、「一貫して任務を遂げたいという思いでやっていた」と22日朝まで法相続投の意欲があったことを強調。問題発言については「(地元で)気を許しすぎたというのが率直なところだ」と述べ、国会と国民への謝罪の言葉はありませんでした。
柳田氏は、地元広島市で14日に開かれた「就任を祝う会」で、国会答弁に関し「法相は(「個別の事案についてはお答えを差し控えます」「法と証拠に基づいて適切にやっております」の)二つ覚えておけばいい」と発言していました。
国民の感覚とずれ
市田書記局長 駆け引き辞任を批判
日本共産党の市田忠義書記局長は22日、国会内で記者会見し、柳田稔法相が国会と国民を愚ろうする発言で辞任を表明したことについて「辞任は当然だが、補正予算案を速やかに通すためといっており、まさに国会戦術の駆け引きで辞めるということだ。まったく反省の弁がないのは重大だ」と批判しました。
菅直人首相の責任については、任命責任とともに「(柳田)発言があったあともかばい続けたことは重大だ」と指摘。「更迭することも、辞任も促さなかった。国会対策、党略的態度で、自ら辞任するという形にしただけであり、国民の感覚と全くずれている」と批判しました。
市田氏は柳田氏が辞任に値する理由として「国会と国民を愚ろうし、法務大臣としての資質にもともと欠けていた」と指摘。そのうえで、“補正予算案を通すため”という柳田氏の記者会見での発言にかんして、「岡田克也幹事長が昨日のNHK討論番組で、問責と補正予算をからめるべきでないといっていたが、そっくりお返ししたい」と述べました。
また、記者団から与党が補正予算案の早期の採決を求めていることについて問われ、「参院段階での審議は緒についたばかりだ。検討すべき問題が山積しており、徹底して審議を続けるべきだ」と述べました。
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