2010年11月22日(月)「しんぶん赤旗」
戦争で行方不明のベトナム兵
捜索協力へ米が合意
【ハノイ=面川誠】ベトナムと米国はハノイで19日、1975年に米国の敗北で終結したベトナム侵略戦争中に行方不明となったベトナム人兵士の捜索で協力する政府間合意文書に調印しました。米国政府がベトナム人の捜索に協力するのは初めてです。
米国際開発局(USAID)とベトナム労働・傷病軍人・社会事業省が交わした今回の合意文書に基づいて、米国側は捜索作業訓練、情報・装備提供などでベトナム側を支援するために、約100万ドル(約8300万円)を支出します。
ベトナム侵略戦争中のベトナム人犠牲者は、兵士と民間人合わせて約300万人(うち行方不明者は推計約30万人)。このうち兵士は約100万人で、ベトナム民主共和国(北ベトナム)軍兵士と南ベトナム解放民族戦線兵士が含まれます。
一方、米兵の死者は約5万8000人、行方不明者は約2000人。ベトナム側はこれまで、行方不明米兵の身元確認と遺骨収集に協力しており、600体以上の米兵遺骨が回収されました。
ベトナム労働省のグエン・タイン・ホア次官は調印式で、「戦争が終わってから35年たったが、ベトナム政府は革命のために犠牲になった数十万人の身元を確認できず、遺骨も回収できていない」と指摘。同時に「今回の合意は両国の親善関係を反映しており、両国は今後も人道分野での協力を促進する」と語りました。