2010年11月22日(月)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 まだ元気なころの作家・井上ひさしさんが、「ひとの都合では死なない」と題し話しています。『九条で平和をつくる』(九条の会)が、講演記録を収めています▼井上さんは、戦争のありさまの変化をあとづけました。第1次大戦。亡くなった人の95%が軍人です。市民は5%。第2次大戦では、死者の52%が軍人、48%が市民でした。無差別に人命を奪った広島・長崎への原爆投下や東京大空襲が、すぐ思い浮かびます▼読みながら、考えました。史上もっともむごたらしい地上戦があった沖縄ではどうだったのだろう、と。沖縄県の調べでは、沖縄戦の戦没者20万656人のうち、市民は約9万4千人。47%です▼しかし、市民についてはきちんとした調査がなく、実際はさらに数万人多いとみられています。だとすれば、軍人や軍属を上回る過半数です。しかも沖縄戦の場合、ひめゆり学徒隊なども「軍属」でした。市民と軍人・軍属との境目があいまいです▼ふたたび井上さんによると、のちのベトナム戦争では死者の95%が一般市民でした。「つまり、第一次世界大戦のときとは、まったく逆になってしまいました」と、井上さん。21世紀のイラク戦争も、少なくとも犠牲者の8割が市民とみられます▼住民の4人に1人が戦争に倒れ、ベトナムやイラクへ出撃するアメリカ軍の足場とされてきた沖縄。だからこそ、人間の平和に生きる権利の尊さを、身をもって訴えられる島、沖縄。1週間後に迫った知事選に、世界が注目するでしょう。





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