2010年11月21日(日)「しんぶん赤旗」
NATO 域外派兵継続
新戦略概念採択 核兵器にも固執
【リスボン=小玉純一】米欧の28カ国が加盟する軍事同盟、北大西洋条約機構(NATO)は19日、リスボンで首脳会議を開き、今後10年の新しい行動指針「新戦略概念」を採択、加盟国の“安全保障”を口実に、世界への干渉を続ける意向を確認しました。
加盟国首脳は20日午前、アフガニスタン問題について同国のカルザイ大統領、国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長らを交えた協議を行い、2014年末をめざして戦闘部隊を撤退させる方針を確認。午後にロシアとの首脳会議を開きます。
11年ぶりに改定された「新戦略概念」は、「NATOの領域外の危機や紛争が、同盟の領土と人々の安全保障に対する直接の脅威をもたらす」として、「危機の回避や対処」に取り組む方針を明記。世界各地で干渉行動を続ける意向を強調しました。
あわせて「協調的安全保障」を方針の一つに格上げし、国連や欧州連合(EU)などとの協力を追求することも確認。部隊を派遣した旧ユーゴスラビアやアフガンでの教訓をふまえ、軍事のほか政治的・民生的な接近が必要だと指摘しました。
「核兵器のない世界へ向けた諸条件づくりの目標への関与」に言及する一方、「世界に核兵器が存在する限り、NATOは核兵器同盟であり続ける」とも明記。ドイツなどが撤去を要求している欧州配備の米軍核兵器について、ロシアの核兵器との均衡など同国との取引を追求するとしました。
全加盟国をカバーするミサイル防衛(MD)については推進することを明記。加盟国の財政難を反映し、機構改革を継続すると表明しました。