2010年11月20日(土)「しんぶん赤旗」

主張

比例定数削減

民意排除の策動断念すべきだ


 民主党が政治改革推進本部(本部長=岡田克也幹事長)の総会で、国会議員の定数削減と、国会議員の歳費を1割削減するなどの方針を改めて決めました。各党に協議を呼びかけるとしています。

 民主党は衆院の比例定数を80、参院の定数を40程度削減することを総選挙と参院選の「マニフェスト(政権公約)」に掲げました。とりわけ現在の選挙制度で唯一、民意を正確に議席に反映する衆院比例定数の大幅削減は、文字通り国民の意思を国会から締め出すものです。民主主義破壊の暴挙は断じて認めるわけにいきません。

「政治改革」どころか

 衆院の比例定数を含む国会議員の定数を削減するという民主党の選挙公約に対し、日本共産党などが強く反対し、民主党内にも異論が出ていました。今回の決定では具体的な削減数などは明記していませんが、反対や批判を押し切って民主党が方針を決めたのは、この問題での執念を示すものです。

 民主党は国会議員の定数削減を「国会議員が率先して身を切る」とか「政治改革」のためだといいますが、民意を国会から締め出す民主主義破壊の暴挙を「改革」などとは呼べません。

 現在の衆院の選挙制度は全国300の小選挙区と、全国11ブロックに分かれる定数180の比例代表からなりますが、1選挙区から1人の議員だけを選ぶ小選挙区は大政党に有利な仕組みで、多くの投票が議席に結びつかない「死に票」になります。得票に応じて議席を配分する比例代表選挙は民意を正しく反映する制度ですが、かつての200議席が20削減されて180となっており、さらに80削減されれば全体での比率が大きく下がります。民意の反映がいっそう妨げられるのは明らかです。

 一方、参院の選挙制度は全国1区の比例代表選挙と都道府県単位の選挙区選挙からなり、民主党の削減案は内訳を示していませんが、比例代表の定数を削減すれば同じように民意の反映が妨げられます。選挙区選挙は「1票の格差」が5倍を超えており、東京高裁からは違憲判決が出されています。格差の是正には選挙制度の抜本見直しが不可欠であり、定数削減はそれも困難にしかねません。

 議員定数を含め選挙制度の問題は、民主主義の根幹にかかわる問題です。民意を反映する公正な制度を原則とすべきで、「ムダを削る」などとやみくもに減らせばいいものではありません。国会議員が「率先して身を切る」というなら、いの一番に検討すべきは毎年約300億円を税金でまかなっている政党助成金です。助成金は政党支持など思想信条にかかわりなく国民に負担を押し付けるもので、直ちに廃止するのが当然です。

企業献金禁止の実行を

 民主党の政治改革推進本部では、企業・団体献金を禁止し、個人献金を促進するための法案を来年の国会に提出することも決めました。しかし、企業献金の禁止は法律改正を待たなくてもすぐ実行できるのに、民主党はいったん中止した公共事業受注企業からの献金の受け取りまで再開しています。

 今ごろ法案提出を決めるのは国民の批判をかわす狙いからだけなのは明らかで、本気で禁止を考えるなら直ちに実行すべきです。同時に小沢一郎元代表らの「政治とカネ」の疑惑にこたえるべきです。





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