2010年11月19日(金)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
リンゴの早むき世界一から金持ち世界一まで。ありとあらゆる世界一を集めたギネスブックにちなみ、「ギネスブックの政治家」とよばれる人がいます▼故尾崎行雄。1890年以来、63年の間、国会議員をつとめました。国会議員の職についていた年数が、世界でもっとも長い。尾崎は旧暦で安政5年(1858年)の明日、11月20日に生まれました▼さすがに、「憲政の神様」の異名をとった人です。いまもうなずける言葉を残しています。たとえば、「元来議会なるものは、言論を戦わし、事実と道理の有無を対照し、正邪曲直の区別を明かにし、もって国家民衆の福利を計るがために開くのである」▼内心、“青くさい説教”と思う政治家がいるかもしれません。柳田稔法相はどうでしょう。地元の「法相就任を祝う会」でいってのけました。「法相は国会答弁では二つ覚えておけばいい。『個別の事案については答えを差し控える』と『法と証拠にもとづいて適切にやっている』だ」▼尾崎行雄の言葉に照らすまでもなく、言論をたたかわせる議会をなんと軽んじた発言か。木で鼻をくくるような“官僚答弁”を覚えておけばいいとは、菅内閣の売り文句「脱官僚」の程度も知れます▼みずから、法務にうといと認める柳田氏。「法相をやれ」といわれ、「えー、なんでおれが」と答えたとか。祝う会で語りました。「みなさんも理解に苦しんでいると思うが、いちばん理解できなかったのは私」。ならば、初めからやめればよかったのに。