2010年11月16日(火)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
圧巻です。大田区産業プラザの1階から6階までを借り切って、東京の「9条の会」が大集合した東京9条まつり。映画あり、対談あり、寄席あり。どれもこれも興味深い▼ひと月前、99歳になった聖路加国際病院の日野原重明理事長も、「生きいき憲法」と題して特別スピーチしました。座って講演したことはない、と45分間、立ったままです▼4年前から10日に1回、日本各地で子どもたちに「命の授業」をしているという日野原さん。思い描いているのは、子どもたちがおとなになったときのことです。勇気ある行動とは、まず自分が自分を変えることだ、とも▼九条の会の呼びかけ人だった故・加藤周一さんも晩年、老人と学生の連帯を呼びかけました。9条まつりで上映された映画「しかしそれだけではない。加藤周一 幽霊と語る」は、そのラストメッセージです。「一人の男に何ができるでしょうか。どうせろくなことはできない、というのはそうじゃない。それは全世界に意味を与えることができる」▼「九条おじさん」こと蓑輪喜作さん(81)の行動は、まさにそうでしょう。憲法9条を守ろうと集めた署名の数は、5年で3万9300(12日時点)。半数は若者からです。本紙「くらし・家庭」欄で、署名の日々をつづる連載も始まりました▼子どもたちにどんなバトンを手渡すか。オープニングでジェームス三木さんは、それは9条だと語りました。日野原さんは、スピーチの結びでこう語ります。「前進、また前進」
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