2010年11月14日(日)「しんぶん赤旗」

年金掛け捨て問題

機構本部見解に「違和感」

お客様相談室長の回答


 日本年金機構の年金裁定システムによって保険料の掛け捨てが生じている問題(10月29日、30日既報)で、掛け捨てを正当化する機構の見解に、同機構八王子年金事務所お客様相談室長が「違和感を感じる」と、この問題を訴えた年金受給者への回答のなかでのべていることが、13日までにわかりました。

 この掛け捨ては、東京都町田市在住の稲村七郎さん(65)の年金受給額をめぐって明らかになった問題です。稲村さんが支払った保険料は470カ月分。この支払い月数に基づいて昨年11月に出された年金見込み額は年約204万円。ところが、ことし4月の年金決定通知書は年額約179万円でした。この年金額には、60歳から約5年間にわたって支払った59カ月分の保険料が反映されておらず、411カ月分で計算されていました。

 回答は稲村さんに9月中旬以降応対してきた同室長が10月26日付でだしたもの。そこには機構本部が稲村さんの年金額の誤りを認めていたことが明確にのべられています。

 「通常であれば、3月分からは退職後の年金額になりますが、支払済の3月分に60歳以降の加入期間分が反映されていませんでした。日本年金機構のオンラインシステムによる年金見込額には、60歳以降の加入期間も含まれて計算されていたため、本部に問い合わせたところ3月分が正しく計算されていないようなので訂正しますとのことでした」と経緯を説明。「10月支払時に間に合うよう訂正したいとのことでしたので処理結果を待って連絡するつもりでおりました」とのべています。

 ところが、同機構本部は10月22日になって態度を一転。3月14日に65歳となる稲村さんは、同日で特別支給の老齢厚生年金の受給権が失権し、退職後1カ月たてば行う退職改定(60歳以降の加入期間の算定)に該当しないので、「訂正できない」との回答があったことを記述。「(私は)回答に違和感を感じましたが、本部の法律解釈の回答に従わざるを得ませんので、この回答をさせていただくこととしました」とのべています。

 特別支給の老齢厚生年金 老齢厚生年金は、年金改悪で65歳からの支給が原則とされました。当分の間、60歳から65歳まで特別に支給されています。

写真

(写真)稲村氏に送られた相談室長からの回答





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