2010年11月14日(日)「しんぶん赤旗」

英で大規模福祉改悪

援助団体ら「人びとを極貧に落とす」


 【ロンドン=小玉純一】英政府は11日、「福祉依存の問題に立ち向かう」として制裁措置を含む福祉手当改革計画を発表しました。ニック・クレッグ副首相は「(1940年代の)制度創設以来、最も抜本的な福祉改革」と指摘。これに対し、労組の全国団体、労働組合会議(TUC)のバーバー書記長は報道発表で「立派な目的だが問題は勤労嫌いの福祉にたかる人なのではなく、仕事が足りないことだ」と批判しました。

 発表したダンカン・スミス雇用年金相は計画書で「現在500万人が非就労中の諸手当を受けており、なかでも140万人が最近10年のうち9年間諸手当を受けている。また190万人の子どもたちが、だれも就労していない家庭で暮らしている」と指摘。現行制度を「就労よりも諸手当に頼らせる制度だ」と批判し改革の必要を強調しています。

 計画は、障害者手当や児童手当などを除く現行の多様な諸手当を一つの給付「ユニバーサル・クレジット」に統合。2013年の新規受給者から適用します。全体の適用にはその後10年を予測し、初期費用に20億ポンド(1ポンド=約133円)を見込みます。

 低賃金の職についた手当受給者は、給付に上乗せして賃金の35%を受け取り、残り65%を国庫に入れます。他方、就労を拒否または4週間のコミュニティー労働を全うしなかった人には、週65ポンドの手当などの支給を3カ月間停止、これを2回繰り返すと6カ月間停止、3回目は最大3年間停止という制裁を科します。

 援助団体のオックスファムは報道発表で「提案は人びとを極貧に落とす危険がある。不払い労働を強制する提案は偏見に基づくものだ。多くの受給者は職を求めており、社会への借金を返す犯罪者のように彼らを罰するのは、支援を受ける資格がある人々への公平な待遇ではない」と批判しました。

 政府は福祉支出を今後4年で約180億ポンド削減する方針です。





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