2010年11月13日(土)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 デパートの屋上にある観賞魚売り場を訪ねると、白、青、紅白など美しい色彩の魚が優雅に泳いでいました。金魚ではありません。メダカの新品種です▼形も丸みをおびた「ダルマ」、眼球が突出した「出目」などさまざま。金魚は、フナを原種として多様な品種が作り出されてきました。最近、メダカの新品種がブームになっています。観賞魚店の店員さんによると、「金魚に負けないほどの人気」だとのこと▼でもやっぱりメダカは、日本古来の黒メダカ(ニホンメダカ)がいい。子どものころ学校帰りに道草をして、川でハンカチを水に広げてメダカすくいに興じたことを思い出します▼ニホンメダカの学名「Oryzias Iatipes」は「幅広いヒレを持ったイネの魚」という意味だそうです。水田でも普通に見られた、もっとも身近な淡水魚の一つでしょう▼最近、野生のメダカをあまり見かけません。環境省が発表したレッドデータブックでは、絶滅危惧(きぐ)種に指定されています。水質汚染、外来種による捕食、用水路の改変など原因は多々あります。あの小さい体に環境破壊の影響をもろにうけて不憫(ふびん)です▼10月に開催されたCOP10では、日本も含めて各国が生物の多様性を守る決意を示したはずです。ところが、その直後に全品目の関税を撤廃するTPPへの協議開始を閣議決定した菅内閣。TPP参加は日本農業に壊滅的な打撃を与えます。そして、最大の環境破壊にもなると「イネの魚」が、小さな体で訴えているように思えます。





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