2010年11月12日(金)「しんぶん赤旗」
主張
クラスター爆弾
全面禁止の流れさらに大きく
8月に発効したクラスター爆弾禁止条約の第1回締約国会議が9日から4日間の日程で、ラオスで開かれています。参加国はオブザーバーを含め115カ国です。
禁止条約は国連加盟国192カ国の過半となる108カ国が署名し、そのうち日本を含む46カ国が締約国です。締約国会議では、締約国が保有する爆弾の廃棄や地上に放置されたぼう大な数の爆弾の処理、被害を受けた国への支援とともに、締約国をどうやって増やすかが課題となっています。クラスター爆弾の全面禁止の流れをさらに大きくするうえで締約国の役割が重要です。
悲惨な被害なくすため
クラスター爆弾は、1個の親爆弾から多数の子爆弾が飛散し広い範囲の建物や人々に大きな被害を与えるだけでなく、不発のまま地上に残る子爆弾も踏みつけたり拾ったりすれば爆発し、子どもなど民間人を殺傷しその後の生活をも困難にする非人道的兵器です。「使いやすさ」から国際紛争で多くの国が多用し、100万人を超える人々が犠牲になっています。
締約国会議の開催地であるラオスも、ベトナム戦争のさいアメリカが投下したクラスター爆弾によって甚大な被害を受けた国の一つです。戦争後爆弾処理の努力が続いていますが、7千万個ともいわれる子爆弾がいたるところに残っており、生活のために入った山で手足を失うなどの痛ましい被害が後を絶ちません。クラスター爆弾による攻撃を受けた諸国はどこでも同じ状況に置かれています。
こうした悲惨な状態をくりかえさせないためにはクラスター爆弾の全面禁止が不可欠です。米国、ロシア、中国などは全面禁止の動きに背を向けましたが、ノルウェーなどの有志連合国や国際人権機関、NGO(非政府組織)のがんばりで禁止条約が作られ発効しました。はじめは抵抗した日本をはじめイギリスやドイツなどのクラスター爆弾保有国も国際社会の声に押されて締約国になりました。全面禁止の流れが確かなものとなっているのは明らかです。
禁止条約は一部の保有国に押されて新型爆弾保有などの「例外」を認めていますが、それでも地上にあるクラスター爆弾の99%を対象にしています。禁止条約の締約国を増やせば増やすほど廃棄される爆弾の数も増えます。被害国支援の強化とともに、署名した残りの国すべてに締約するよう働きかけることが不可欠です。
爆弾を大量に保有し、ベトナムやイラクの戦争で多用してきたアメリカをはじめ、ロシア、中国、イスラエルなどは、クラスター爆弾禁止条約が発効したのに背を向けたままです。クラスター爆弾に固執する保有国を追い詰める締約国の外交的努力がいよいよ重要になっています。
米軍保有爆弾の撤去を
日本はクラスター爆弾禁止条約の締約国として、米国に条約加盟を要求すべきです。しかも在日米軍は在日米軍基地にクラスター爆弾を保有し、投下訓練をくりかえしています。自衛隊保有の爆弾を廃棄するだけでなく、在日米軍の爆弾を撤去させ、日本の国土から爆弾を一掃してこそ、条約締約国の責務を果たすことになります。
政府は日米軍事同盟を絶対視し、禁止条約に込められた願いに背を向けるべきではありません。