2010年11月11日(木)「しんぶん赤旗」
ロシア、再びアフガンへ
苦悩するNATOが要請
ロシアは10月末、アフガニスタンで米軍と麻薬製造施設を対象にした共同軍事作戦を行いました。ロシアによるアフガンへの直接的な軍事関与は、旧ソ連軍が1989年にアフガンから撤退して以来のことです。アフガンで苦悩する欧米諸国、北大西洋条約機構(NATO)の要請に応えた形です。NATOは、20日にリスボンで開くロシアとの首脳会議で新しい関係に踏み出す意向です。(ロンドン=小玉純一)
ラスムセンNATO事務総長は3日、首脳会議準備のためモスクワを訪れ、メドベージェフ大統領、ラブロフ外相と会談しました。NATOの発表によると、両者の協議は「アフガン安定化のためのNATOとロシアの協力に集中した」といいます。
ロシアと米国の特殊部隊は10月28日、アフガニスタンのナンガルハル州のパキスタン国境近くで麻薬製造施設4カ所を急襲し、ヘロイン約1トンを処分しました。
NATO加盟28カ国は19、20の両日、リスボンで首脳会議を開きます。NATOはロシアに、この機会に首脳会議開催を呼びかけました。メドベージェフ大統領は10月19日、フランスのドービルで、サルコジ仏大統領、メルケル独首相と3者会談を行った機会にその受け入れを発表しました。
NATOは、ラスムセン事務総長とロシア側との間で「通過、麻薬対策訓練、アフガン軍へのヘリコプターの供給」が協議されたと発表しています。
「通過」は、NATOの軍事物資のロシア領通過の容認で、今年春にすでに実施されています。パキスタン経由での通過が武装勢力の攻撃を受けているなかでの対応。「ヘリ供給」は、NATOのアフガン軍への権限移譲に必要とされるものです。
ロシアのNATO支援は、ロシア軍によるグルジア侵攻に対するNATO側の批判を弱めるためのものとみられています。