2010年11月11日(木)「しんぶん赤旗」

主張

広州アジア大会

国際交流と友好親善の場に


 16回目となるアジアのスポーツの祭典、アジア競技大会が12日に開幕します。

 中東のカタール・ドーハで開かれた前大会から4年、舞台は中国広東省の省都・広州市に移りました。中国での開催は、1990年の北京大会以来、2回目となります。アジアの若者たちがスポーツを通し、人種や宗教、政治体制のちがいをのりこえて、国際交流と友好親善に満ちた大会になることを期待します。

公正な競争を通じて

 今大会には、45の国と地域から1万人をこえる選手・役員が参加を予定しています。過去最多の42競技・476種目で熱戦をくりひろげます。五輪競技にくわえてセパタクロー、カバディ、太極拳、空手など、アジア大会独特のスポーツがふくまれ、新しくクリケットやダンス、囲碁、中国将棋までもが加わる多彩さです。

 インドの提唱によって始まったアジア大会は、第2次世界大戦後の1951年、アジア諸国の友好と親善を目的に第1回大会がニューデリーで開かれました。

 大会を主催するアジア・オリンピック評議会(OCA)は憲章のなかで「スポーツの公正な競争を通じ、アジアの若者のスポーツ、文化、教育および道徳的、身体的な資質の発達を助け、国際的な関心、友情、親善および平和の促進に寄与する」とうたっています。

 近年、アジアの競技レベルは、上昇傾向にあります。しかし一方で、広大なアジアには政治的な混乱や貧困から抜け出せない国や、地震や洪水といった異常気象に苦しんでいる国々もあり、スポーツの普及の面で発展途上の地域も少なくありません。

 また、今大会は直近に起きた尖閣諸島問題で日中関係が緊張している最中での開催でもあります。

 そうしたなかで、相互理解と国際親善をすすめる場である広州大会を成功させることは、アジアの平和と交流に貢献することにつながるでしょう。

 日本からは史上最多の千人をこえる選手と役員が参加します。日本オリンピック委員会(JOC)は、2年後にせまったロンドン五輪の前哨戦になる重要な大会として位置づけ、前回ドーハ大会でのメダル(金50、銀71、銅77)をこえる成績を目指すと力を入れています。アジアの競技水準の向上に力を発揮してもらいたいと思います。

 同時に、日本選手団の市原則之団長(JOC専務理事)は「大会は勝ち負けだけでなく大切なムーブメント(運動)です。選手が最大の力を発揮し、フェアプレーをし、フレンドシップを図る。これを基本にがんばりたい」と話しています。さらに、積極的に外国選手と交流し、国際的な力をつけてもらいたい、と若い代表選手たちに呼びかけています。

日本選手団への期待

 これまで、アジアのスポーツをリードしてきた日本への期待は、いまだに大きいものがあります。アジアのスポーツ関係者は、日本がアジア全体のレベルアップにどうとりくみ、協力・共同関係を築いているかを注視しています。

 アジア大会が開かれる27日までの16日間、日本選手団の活躍とともに、フェアプレーと友情で結びついたアジアの競技者が、広州の地で豊かに交流する姿を見守りたいものです。





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