2010年11月10日(水)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 かつて、「セールスマン」と評された首相がいました。池田勇人首相です。1960年代前半、首相はフランスを訪れました▼時のドゴール大統領にもっていった手土産が、国産のトランジスタラジオです。大統領は会談の後で「トランジスタラジオのセールスマンみたいだ」と語った、といいます。皮肉まじりでした▼テレビで国会中継をみていて、池田氏の逸話を思い出しました。菅首相が、就任以来の胸を張れる実績に、ベトナムへの原子力発電の売り込み成功をあげていたからです。「原発のセールスマンみたいだ」と思ったしだいです▼池田首相のころ、政府と財界は経済の「高度成長」を追い求めました。いま、経済は地球化(グローバル化)しています。アジア・太平洋には、貿易をとことん自由化する戦略的経済連携協定(TPP)を結ぶ国もあります。菅首相は、新しい時代のセールスマン役をかって出たようです▼そのTPPについて政府は、「関係国との協議を開始する」と決めました。財界も大企業製品売り込みへ、セールス合戦の“バスに乗り遅れるな”と参加を求めます。しかし、農産物の輸入増で食料自給率が10%台に落ち込むというのですから、わが国農業の死活と国民の食料にかかわる一大事です▼あのフランスは、工業国でありながら自給率100%以上の農業大国です。日本とお国柄は違いますが、両方が並び立つ国づくりに励んできたからでしょう。TPPは、わが国の国づくりの自由まで奪いかねません。





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