
2010年11月9日(火)「しんぶん赤旗」
占領地通過の鉄道計画
入植地結ぶ イスラエル進める
国内でも批判の声
【カイロ=伴安弘】イスラエルが占領地パレスチナ・ヨルダン川西岸を通る二つの鉄道路線の建設計画を進めています。占領地を通過することは国際法違反のイスラエルの占領を固定化するものだと、イスラエル国内からも批判の声が上がっています。
鉄道建設計画の一つはイスラエルの北部の港湾都市ハイファを起点にアフラ、ベイトシェアンを通って西岸のジェニンとその近くのユダヤ人入植地を結ぶもの。カッツ運輸相(与党リクード)は今年6月、この計画を明らかにした際、ジェニンからエルサレムまで延びる路線を検討していることも明らかにしました(イスラエル紙エルサレム・ポスト)。
鉄道建設計画のもう一つはテルアビブとエルサレムを結ぶ高速鉄道計画。20億ドルを投じるというもので、すでにイスラエル側の一部区間56キロ部分が完成しています。パレスチナ自治政府のハティブ報道官はこのほど、「パレスチナ人の権利を侵害するもので、あらゆる法的、外交的方策を通じて計画を断念させる」と述べています。
同時にイスラエルの中心都市テルアビブから西岸の東部ヨルダン渓谷を結ぶ高速道路505の建設にも言及。この道路が「平時だけでなく戦時にも有用だ」と述べています。(同ハーレツ紙)
この計画に対しては、イスラエル国内からも「平和のための女性連合」などが批判。イスラエル運輸省は「計画はパレスチナ人のためにもなるし、路線のほとんどはイスラエル国内を通過する」と、批判をかわそうとしていますが、同連合は、6キロの西岸部分がトンネルでパレスチナ人が利用できないことを暴露しています。
問題の西岸部分は、イスラエルがテロリストの侵入を防ぐとして建設した分離壁でイスラエル側に組みこんだ土地。ベイトイクサとベイトスリクの二つの村に住むパレスチナ人は村を壁によって分断され、奪われた土地に鉄道が走るという状態になっています。
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